2020.08.31 14:34
7年8ヶ月の責務を終え、先日辞任する意向を表明された安倍総理。
政権への評価を含め、多くの報道の方から意見を求められましたが、私の任期よりはるか以前から続いていた政権であるがゆえ、すぐにはうまく考えがまとまりませんでした。
まず、難病指定となっている持病を抱え、症状をコントロールしながら二度目となる総理としての任を長きにわたり務められたことに心からの敬意を表したいと思います。国のトップとして戦後最長の任期を務められたその姿は、難病で苦しんでいる方や、がんなどで闘病をしながらの就労に苦労をされている方々の大きな希望であったことと思います。また、志半ばで病気のために職を辞すとの決断は本当に無念であったものと心が痛みます。ご回復を心からお祈りいたします。
ただ、先週髪を切ってもらっていたとき、美容師さんがこのことを予感していたかのように、
「もし安倍さんが辞めたらモリカケはどうなってしまうんでしょうね?」
と言われていたのを思い出しました。
安倍政権と言われて私が真っ先に頭に浮かぶのは、憲法のもとに禁じてきた集団的自衛権に道を開いた政権であり、アメリカとのトップ会談直後に突如イージス・アショアというものの購入を決め、その後秋田に大きな混乱をもたらしたということでした。
また、歴史を振り返った時に語られるのは、日本の公文書というもののあり方を大きく揺るがした政権であるということだろうと思います。
テレビや新聞で報道されるような大きなニュースで、私はこの政権がしてきたこと、やり方に賛同できるようなものはありませんでした。
ただ、一方で、目立たないことではありますが、よかったと思うこともあるのも事実です。
安倍総理は、日本の総理大臣として初めて不登校児が集うフリースクールを視察し、フリースクール関係者にとっても、当事者である子どもたちや保護者にとっても存在が認められたという嬉しさを感じさせてくれました。
また、ここ一年ほど、この政権のもとで、女性議員が中心となり、養育費の立替払いの問題、性犯罪に関する対策強化、こども宅食の議連が立ち上がるなど、強く私が関心を持っている政策に関して大きな前進がありました。
これは、長期政権で、また、保守層と言われる方達をおさえている安倍総理のもとだからこそなし得たことであったかも知れません。
長期政権の功罪をもつ安倍政権。
私は直接お話しする機会はもちろんなかったのですが、そのお人柄を知る方によれば、人を喜ばせよう楽しませようとする人間味ある方だとのこと。
個人的な思いとしては、総理には、憲法改正を叫ぶのではなくて、自身のご経験や時として意のままに働けない苦しい思いを糧として、難病や健康の問題を抱える方、障がいを持つ方に寄り添った就労支援を前に進めてほしいと考えていましたが、この政権でこうした分野が進んだと感じられなかったことは残念です。
新しい総理大臣が誰になるのかと騒がしいここ数日ですが、次の総理には、疲弊する地方の苦しさを皮膚感覚として知っている方に、弱い立場に追い込まれている人たちに向き合っている方に、開かれた政治を実行していただきたいと考えています。
議員となり初めて一つの政権が終わるのを目の当たりにし、首班指名に票を投じることとなる重さを改めて思いつつ。