2020.10.20 15:43
本日10月20日は、5年に一度行われる国勢調査の締切日です。
記入が面倒ではありますが、日本に住む人たちの現状を正確に把握し、それを政策立案に役立てるためのもので、調査の内容が偏ることとなれば、それに基づいて立案される政策もまた的外れなものとなる恐れがあります。
その意味において、この調査は非常に重要なものです。
この国勢調査について、LGBTの当事者団体や自治体から、同性カップルがどのくらい存在するか実情を把握してほしいとの要望が出されています。国勢調査のたびに同様の要望が出されていますが、国は今回も応答しませんでした。
当事者団体からは、国勢調査の始まる直前にも、現状の質問項目であっても、性別が同じで関係のところに「配偶者」のチェックをすれば、同性カップルだと把握できるから集計してほしいと重ねて要望がありましたが、総務省は記入間違いである可能性を否定出来ないとして、集計には否定的でした。
もちろん、私も記入ミスの可能性はあると思います。
ただ、当事者の方々がどのような思いでその欄にチェックを入れているのかということを想像をしてみることは大切です。
現状では、同性同士が配偶者にマークしても、集計の際には「記載ミス」として、「その他の親族」としてカウントされることになっています。同性カップルの方々が、「国勢調査きた!配偶者欄にチェックした!ドキドキ」というようなツイートされているのを見ると、本当に胸が苦しくなります。
先月あったLGBT議連において、またその後個別に受けた総務省からの説明で、「国勢調査は法律に基づいてやっているので、法律で同性婚が認められていないことに加え、記入間違いである可能性があるから集計は出来ない。ただ、『記入状況がどうであったか』の公表については検討の余地がある」とのこと。
当事者の皆さんには心苦しい現状ではありますが、このことに希望を持ち、現状をありのままに記入をしてほしいと願っています。
一方で、国は、配偶者と記入されている異性同士については、法律上結婚しているかどうかに関わらず、配偶者として集計しています。これについても、法律に基づいてといいながらダブルスタンダードではないのかと問いましたが、「異性間は結婚が法的に認められているのでそれに準拠して判断するが、同性間は法律婚ができないから」との回答でした。これについては、議連に出席していた多くの議員が顔を見合わせてそれはおかしいだろうとざわめきがあがりました。
前述の通り、国勢調査の目的は、日本に住む人たちの現状を把握して、それを政策立案の基礎とすることにあります。
そうであるならば、現状を正確に把握しているとはいえないこの調査結果をもとに、さまざまな国の計画が立案されることは、間違った政策を作り実行することにつながります。
自治体からの要望はまさしく、自分の自治体にどれほどの同性カップルがいるのか、考慮すべきなのかを知りたい、施策に活かしたいとの切実なニーズから来るものです。
LGBTを理解しない方々にも、この観点には納得してもらえるのではと思います。
日本でも、今月1日現在で60の自治体が同性パートナーシップ制度を導入しています(人口カバー率約30%)。
結婚できないことにより、夫婦として受けられる当たり前の公的扶助が受けられない、福利厚生、各種手当てや見舞金、相続のこと、子供のこと、パートナーが病気になっても手術の承諾書のサインもできない、慶弔休暇、介護休暇もとれない。
こうした不利益に悩む当事者にとって、不十分ではありながらも、これらのことの解消の助けとなるこの制度は、法改正の目処が立っていない現状において一条の光です。
最近では、東北で初めて、青森県弘前市がパートナーシップ制度を導入するとの報道がありました(今年12月予定)。
先日もお話しさせていただいた通り、秋田市議会でも、この制度の導入を検討すべきではないかと指摘されています。
佐竹知事は、県としてLGBT当事者等への偏見、差別の解消を目指す条例の制定を検討していることを明らかにしており、このような流れを私も嬉しく思っています。
多くの人は、なんらかの意味で「自分は少数者だ」との思いを抱えていると言います。
たとえ自分が当事者ではなくとも、家族や親戚、友人、近所、職場、学校等の身近にもそうした悩みを抱えている人がいるかもしれないという配慮を持って行動したい。そのように思い、私が心がけていることがあります。
それは、自分が話す前に
1、それは(客観的)事実か
2、(今それを言う)必要があるか
3、その言動に配慮(優しさ)があるか
の3つを胸に手を当てて考えてみる、ということです。
1のそれは事実か、を知るためにも同性カップルの実情を把握するよう国に対してしっかりと働きかけて参りたいと思います。