中東アフガニスタン。
日本から遠く離れた国の動向が毎日のようにニュースで報じられるようになってしばらく経ちます。
一昨日、そのアフガニスタンの状況について、私が所属している超党派の人権外交議連の会が急遽もたれました。この議連ではこれまで主に香港、ミャンマー、ウイグル等における人権の課題について議論してきました。

米軍の撤退が終わり、タリバンが空港制圧を宣言した現地では、退避できなかった人たちの焦燥がさらに深くなっています。議連では、悩んだ末に２０年住んだアフガニスタンからの退避を選択し、日本人としてはたった一人、日本から派遣された自衛隊機で隣国パキスタンに逃れた共同通信の安井浩美さんのお話を聞く機会がありました。安井さんの今の心中が綴られた胸を打たれる手記が昨日の秋田魁新報朝刊にも掲載されていますのでご覧いただけたらと思います。

多くの方がニュースでご覧になった通り、タリバンがアフガニスタンを制圧し、昨日アメリカ政府は同国からの撤退完了を宣言しました。
安井さんがアフガニスタン人の夫を残して待避を決めたのは、この先の予測ができないこと、タリバンの報道官はいいことを言っているが、地方の友人らからは不穏な話を聞き、結局は日本関係者である自分も待避をした方がいいという結論に達したこと、外国人の妻に何かあってはとの夫からの強い説得があったからとのこと。

日本政府の動きは残念ながら鈍いものでした。
アメリカの軍用機にぎゅうぎゅうにひしめきあう退避希望者が乗った様子の写真が公開されたのが８月１６日、一方、安井さんが首都カブールを逃れたのは２７日。
政府の判断の遅れが、日本関係の退避希望者５００名を取り残す現状に繋がったとの指摘がなされるのは、止むを得ないことと思います。

自衛隊機の派遣が決定し、自衛隊機が現地入りしたのが２３日。しかし、２６日、タリバンが検問を強化する中、バス１０台での空港への移送を実施したものの、空港周辺での爆発事件が発生。
安井さんは、「自衛隊機が到着してから爆発が起こるまでの３日間の間に、市内から空港まで移動することができていたなら」と指摘します。アフガン人は出国させないなどのタリバンの圧力、検問のさらなる強化によって、結果として自衛隊機で退避した日本関係者は安井さんたった一人だったそうです。

安井さんは言います。
「アメリカ政府は最後まで助けるという一方、日本からのメッセージは伝わってこない。それでも、さまざまな形で日本に協力してきたアフガン人は、『きっと日本政府が助けてくれるに違いない』と今も信じて待っている、どうか見捨てないでほしい」

手記の中で、安井さんはシルクロードに憧れてアフガニスタンの自然の美しさや人々の素朴な日常を撮ろうとその地に渡り、以来２０年、現地で起こる紛争やテロに巻き込まれる人々の写真をとり、取材を続けて暮らしてきたといいます。アフガニスタンを「多民族国家で文化も多様。人柄は素朴で、ときにうっとおしいほど親切だ。そんな人たちが内戦やテロの犠牲になり、貧困にあえいできた」と描写。
貧困層の子どもたちに寺子屋を開いて復興を支援してきたそうで、「私が愛するアフガンを国際社会は、そして日本は見捨てないでほしい」と結んでいます。

同じく議連に出席された東京外語大の伊勢崎教授がおっしゃるのは「救出ミッションはまだ終わっていない」ということ。
小泉政権当時に通訳などで日本政府に協力した通訳の方３名がこの1月に暗殺されているとの重い指摘も。
オペレーションは終わっていない、出国を望む市民の保護が必要で、命のビザが一番重要だと。
日本とつながりのあるかつての留学生や研究者等に招聘ビザを発給し、助けることだと述べました。

こうしたご意見を踏まえて、議連での決議をとりまとめて会は終わりましたが、お二人のお話から、焦燥感、やるせなさ、かすかに残る望み、現地の砂埃の舞うような空気を私まで吸ったように感じました。
この一年半、コロナ禍に見舞われ、国内での目の前の課題にどう対処するかということを否応なく考える時間がどうしても多くなっていました。ただ、解散もなく任期が６年あり、選挙がいつあるかと考えず集中できる参議院議員は、こうした課題に取り組むこともまた求められているものと考えています。私のような議員一人にできることは限られますが、こうして議連に名を連ねて参加をし、人道上の危機に直面している人たちに関心を寄せ、救いたいと思っている人間がいるというメッセージを発し続けたいと思っています。

＊議員連盟でのお話は報道の方にも公開で行われたものです。

＊下記、この間の日本政府の動きが時系列でまとめられた記事を添付しています。
https://www.news24.jp/articles/2021/08/31/04932728.html?fbclid=IwAR0a3s99kNF9AErU1OP_DQgx1YqBLUeoWUJ18W3qQClCRNGS6rbredJcWIU

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