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アフガニスタンの彼女の告白〜アジア女性議員会議inシンガポール報告①

2022.12.05 14:48

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私は8人家族。父はいつも厳しく、母は優しかった。

小さな頃から、女の子は価値がないとされた。

女の子は一人で家から出かけることは許されない。

姉が隙を見つけて、兄弟の自転車でパンを買うために街に出かけた。

次の日、自転車はバラバラに壊されていた。

男女の不平等はいつも私と姉たちの悪夢のもとだった。

教育だけがアフガニスタンという国をのがれる唯一のチケットだと知っていた。

2年前、父はコロナに倒れ、合併症で亡くなった。

それから1年、兄は、タリバンに占拠された街で、車の爆発に巻き込まれて命を落とした。

姉と私は奇跡的に教育を受けることができ、国を逃れた。

来年パスポートの期限が切れる。更新のために国に戻ることはできない。

政情不安と暴力。国に戻ったら、女性で、政治を学んでいる私をタリバンは絶対に見逃さないだろう。だから、私には間もなく難民になる運命が待っている。

それでも、希望を捨てていない。

いつの日かアフガニスタンに戻る。女性のための場所が確保され、平和が戻ったときに。

それがなかったとしても、戻らなければいけない。

自分たちの土地に、自分達の国に。

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シンガポールの会議に集まったアジア各国からの女子学生たち。

アフガニスタン出身の女子大学生から突如聞かされた告白は、あまりにも重いものでした。

そんな彼女から、素直な疑問をぶつけられた時、言葉が見つかりませんでした。

「どうして、日本のような民主主義の先進国で、女性が基本的人権のために声を上げることがそんなにも難しいのか?」

会議に参加していた大学教授によれば、これはアジアの国々の日本に対する最大の関心事項であるとのこと。

日本のような民主主義の先進国が、なぜジェンダーギャップ116位なのか。

何が日本をその順位たらしめているのか、彼女たちは純粋に興味津々なのだと。

アフガニスタンの彼女がこれまでの人生で経験してきたこと、乗り越えてきたこと、これから彼女を待ち受ける困難を思えば、日本に生まれ、政治家という仕事を与えられている私がこの答えを語ることなどあまりにも申し訳ないと感じながらも、このジェンダーギャップの順位の足を引っ張っている政治分野の139位(146ヶ国中)の原因について私自身の認識を語りました。

家父長制を引きずっている文化、女性は控えめであることが美徳だとされる考え方、自治体議員も国会議員も女性であるだけでセクハラなどの被害に遭うことや、性犯罪に関することで女性が声をあげれば無数のバッシングにあう現実。今は変わりつつあるとはいえ、女性が顔も名前も出して自身の意見を述べることが必ずしも好意的に受け止められない傾向が社会の中にあること。こうしたことを考えれば、女性政治家という存在はその真逆のものであること。

そんなことを、申し訳なさを感じつつも伝えると、会議が終わったのち、イスラムの国の学生たちが私の元にやってきて、「私の国と似ている」と口々に言いました。

正直にいえば複雑な気持ちがありました。

女性が一人で出かけたり、教育を受けることにもなかなか良い顔をされない国々。

ただ、冷静に事実を見れば、日本でも今も、男女のきょうだいがいれば、男の子は大学にいかせ、女の子は就職か専門学校、もしくは短大で十分、という考えの家庭もまだあることが現実だと感じます。大学や大学院の進学率も男女で差があり、また、国の統計によれば、女性の賃金は男性の賃金の78%で、OECD平均を大きく下回っています。

日本のジェンダーギャップの順位の前後には、事実、こうした国々が並んでいます。

日本を含めたこうしたアジアの国々にある男女の格差は、煮詰めればすべて、「女の子は価値がない」という、今も厳然と社会に存在する意識的・無意識的な差別に基づいています。

普段は、「日本のこんなところがよくない!」などと思っているくせに、「国際会議という場においてこんなことを話したら日本の価値や品位を下げるのではないか」「どんな国なのかと疑われるのではないか」というような複雑な気持ちが自分の中に生まれるのを感じたことも事実です。それでも、まだ議員となって3年、無所属という私に課せられた役割は、普通の感覚からかけ離れた日本の政治の世界の常識、政党に所属する議員たちからも聞いてきた「女性であるというだけで経験する様々な不合理」を包み隠さず共有することだと考えました。

日本の女性議員が置かれた状況をありのままに話したことで、各国の議員も自身が経験した困難や身の危険などを話してくれ、どうやって女性議員を増やすか、増えない原因は何かということは、私自身普段関心を持って取り組んでいることながら、さらにもう数段掘り下げて考えさせられる機会となりました。


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