2025.05.21 17:15
江藤拓農林水産大臣が辞任されました。
自民党の政治資金パーティーで「米は買ったことがない。支援者の方々がたくさん米を下さるので。売るほどある」と発言したことの責任を取る形となりました。
私が3年前に農林水産委員会に所属してから、江藤大臣は5人目の大臣でしたが、また大臣が交代することとなります。お米の店頭価格が下がらず、農政全体としても非常に大事な時期だっただけに、ご発言と大臣交代という議論の停滞の期間が生じることが残念でなりません。
昨日の農林水産委員会では、米どころ秋田選出の議員として地元で聞いてきた多くの声をご紹介しながら、大臣に一言申し上げました。
県内を歩いていると、様々な場面で、農家の方々、集荷業者の方、農業に携わっておられる与野党の自治体議員の方々まで、「令和の米騒動」と言われる現状について語ってくださいます。
「農家が縁故米で持っているとか、業者が隠し持っているなどと言われるが、バカを言うな。農家は米を売らなければ次の年に必要なものを買えないし、業者だって借金をして仕入れているんだから、売らなければ借りたお金を返せない」
「政府が言うほど米は取れていない。高温障害で精米の段階で割れてしまって、そもそも主食用の米が収量が集まってないんだ」
「備蓄米を放出したら、焦って抱えている米を出してくる業者が出てくるはずだと政府は言っていたけど出てこないだろう、米はない、ないものはない」
「実質の生産調整を続けるなか、農水省の目測の誤りが2年続けばこうなる」
また、農家はこのまま高値が続いたら本格的にコメ離れが起きてしまうのではないかと本当に心配されています。定期便で米を直接販売する農家さんのところには一気に注文が入り、市場に米が流通し始めた途端にキャンセルが殺到する、そんなお話も聞かせていただきました。騒動を煽るような報道もやめてほしいし、報道の材料になるようなことも農水省はしないでほしい、誰もありがたくない、みんなが困っているのが今回の米価格の高騰なんだー。そのような声が聞かれるなかでの今回の大臣発言でした。
個人的なお米の思い出があります。
私が子どもの頃、我が家は経済的な余裕がなく、小学生の私に母が「今月はお葬式があったりして、お金が足りなくなってしまったから、お米を買う分、お年玉の通帳から少し借りてもいい?」と私の通帳から5千円を引き出して、給料日が来ると「ちゃんと返しておいたよ」と通帳を見せてくれることがありました。
お米を買うこと、それに難儀する家庭があることを自分の過去と重ね合わせ、そして、あらゆるものの物価高が続くなか、お米が買えないとの声の多さ、助けてくださいと言うことの難しさ、尊厳が損なわれるような辛さを、本当には理解していないことが今回の発言で明らかとなりました。
これまでの8回に及ぶ江藤大臣とのやり取りでは、漁村生まれだという大臣が、本当に農林水産業に通じていらっしゃること、そして、答弁書を読まずにご自身の言葉で丁寧に説明しようと努めてくださる姿勢から学ぶところが多くあったことも事実です。委員会の答弁でお話しされていた、「スーパーで米の値段や並んでいる量をチェックするだけでなくて売り場をしばし眺めている。値段をチェックして買わずに帰っていくご高齢の方などを見ている」というのも実際にされているのだろう、そう思っていただけに、今回の発言で一気にその信頼を失い、大臣としての職を離れられることになったのは残念なことと感じています。
「(議員を)引退したら次男と農業をやる」と語っておられた大臣が、その言葉通りに、人口減少と選挙区割りの調整により減っていく生産地を応援する議員の一人であってほしいと願っておりますし、また、新しく就任される小泉大臣には、疲弊する生産地と米の高騰に苦しむ国民に真摯に向き合い、前例にこだわることなく難局を乗り切る舵取りを行われることを望みます。