2025.05.30 15:35
米価の高騰、それに伴う備蓄米の放出が連日メディアを賑わせています。
昨日、新しく就任した小泉進次郎農林水産大臣に、改めてこの度の「令和の米騒動」と言われる状況が生じた原因、これまでの農政のあり方などについて質問しました。
農水省はこれまで、「米は足りている。流通のどこかで目詰まりがあり、店頭に並ばない」との説明を繰り返していました。私はそもそも需要に対して、米の生産が追いついていないのではないかとの懸念をもっています。
この間、県内の農家さん、集荷業者さん、農業に携わる自治体議員の方々からお話を聞いてきました。
皆さんが口々におっしゃるのは、「(農水省が公表するその年の米の収量を表す)作況指数には違和感がある。米はそんなに取れていない」というもの。カメムシによる被害や、高温障害で精米の段階で崩れて主食用米にならない、そんな米が大量に出ているから、実際には農水省が見込んだ量より取れていない、その見込みが2年続けばこのような事態は起こりうる、というものでした。
この問題意識のもと小泉大臣に問うと、大臣も同様の話を聞くとして「農水省の統計やデータの信頼性を高めることが不可欠。しっかり省内で議論したい」との答弁を頂きました。
米政策は転換期を迎えています。政策の前提となる統計のあり方が生産現場にいる皆さんの実感とかけ離れ、実態を正確に捉えていないのだとすれば、政策を誤らせる恐れがあります。
大臣も繰り返し答弁している通り、主食である米の小売価格が一年で2倍になるのは非常事態であり、食品や生活必需品などあらゆる物が値上がりするなか、主食であるお米が高すぎて買えない人がいる状況は何としても避けなければなりません。
ただ、大臣に申し上げたのは、そもそもその比較対象である5キロ2000円台だった一年前の価格が適正だったのか、ということです。米農家の皆さんは、今回の高騰が生じる前までずっと米価格の低迷に苦しみ、肥料や資材費等の経費が価格に転嫁できず、このまま赤字が続けば生産を続けること自体が難しいと訴えてきました。
一消費者としては有難い米価格の低位安定は、米農家の皆さんが、近年かかりましする経費を一手に背負いこむことによって構造的に成り立っていたものであったことを考える必要があります。先日の農業委員会大会では、県内の農家さんから「農家が食糧生産のために額に汗して働いてきたことを正当に評価してほしい」と言われました。
今の備蓄米の2千円での放出は、消費者からの「米が高い、買えない」という声に基づいて行われたものです。このことは、農家の皆さんの声を聞いてきたものとしては、「米の値段が上がったらピシャッと水を浴びせて値段を下げようとするのに、(一年前まで)米価が下がり続けて、赤字でこのままでは続けられないと農家の方々が散々声をあげてきたのに、そこに実効的な対策はしてくれなかった、何もしてくれなかったじゃないか」というのが素直な県内の農家の皆さんの思いだということを大臣に訴えました。
米政策は大きく見直しを迫られています。今回のこの異例中の異例とも言える随意契約で価格を指定しての備蓄米の放出をすることにまでなった原因をしっかりと分析し、これまでの政策を総括した上で、今後の米政策の議論を行なってほしい。赤字でも国民に食糧を届けてきたと言葉を搾り出す農家の方々の思いを胸に留めて、生産者と消費者が納得できる価格の合意形成を図っていくことにより、食糧の安定的な供給が叶うよう引き続き懸命に努力して参ります。