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皆が「おめでとう!」

2020.12.22 16:17

先日、舩後議員が事務所にお越しくださりお話しさせていただく機会を得ました。
議連等で何度かご一緒させていただいていましたが、直接個別にお話しするのは初めてのことでした。

ご存知の方が多いと思いますが、舩後議員は昨年の参院選で初当選をされ、ALSという病気のために介護の方の手を借りながら議員活動をされています。
文字盤を使って僅かな目もとの動きで一文字ずつ自分の言葉を紡ぎながらお話しくださいました。

舩後議員のそばにおりますと、人工呼吸器の音が聞こえてきます。
音に付随する記憶というのはものすごくて、静かな病室の中で弟が植物状態で闘病していたときの記憶が一気に呼び起こされました。
命を助けてもらったという気持ち、でも意識は戻らないというどうしようもない絶望感、匂いなどが蘇ってきて、雪の中の夜にいるようなしんとした気持ちになりました。

舩後議員は、議連の場で私がインクルーシブ教育の必要性について発言したことに共感したということでご連絡をいただき、お会いすることとなりました。

インクルーシブとは、日本語にすると「包み込むような」という意味。
そして、インクルーシブ教育とは「障がいのある子もない子も共に学び、共に育とう」という概念です。
舩後議員は当事者として、インクルーシブ教育の必要性を訴え、文科委員会などでも積極的に発言されています。

私が教育の場にインクルーシブの概念を、と思うのは、私自身が障がいのある人への接し方をもっと早くから身に付けられていたらと感じるからです。ただ、そう思う私自身を客観的に見れば、「障がいがあるとはどういうことか」に接する機会は他の人たちよりは恵まれた人生であったとも思います。

弟のこと。フリースクールでボランティアをしていたときに、発達障がいを持つ子やダウン症のお子さんがいたこと。母が手話通訳ボランティアをしていたこと。母の親友が聴覚障がい者や盲導犬利用者であったこと。今は母自身も脚が悪く障がい者手帳を持っていること。
こうした経験からたくさんの気付きがありましたし、戸惑いもありました。
もしもっと小さな子どもの頃から身近に障がいを持つ友達がいたら、もっと自然に一緒に過ごせたし、手の貸し方を身につけられていたのではと思います。

インクルーシブ教育を進めるということには賛否両論があると文科省の担当者から伺いました。
障がいがある子どもを持つ保護者には、うちの子に最善の支援が得られるのならインクルーシブなんて関係ない、むしろ個別に分けて手厚く見てもらう方がいい、という方もいらっしゃるそうです。
また、健常児のお子さんを持つ保護者には、障がいのある子どもにばかり先生が時間をとられ、ちゃんと我が子を見てもらえないのではないかという意見が少なからずあると。

子を持つ親として、それぞれの悩みや心配を抱くのは当然のことであると思います。
現状ですら教育現場は人手が足りておらず、先生たちの忙しさを知っていたら当然の懸念であるともいえます。
でも、大人になれば、誰もが同じ一つの社会で生きていくことになります。
そして何より、いつ誰が障がいをもって生活をすることになるかは見通せません。
安心できる社会にするためには、そうした困難に当たった時にしっかりと支援が得られること、それを誰もが実感できる社会であることが必要ではないでしょうか。
だからこそ、早くから障がいを持つ子もそうでない子も一緒に過ごし、「みんな違ってみんないい」が小さな頃から実感としてわかるインクルーシブ教育をしっかり推進していくことが必要だと私は考えます。

先月とある自治体のディスレクシア(学習障がいの一種で、文字の読み書きに著しい困難を抱える障がい)説明会に参加しましたが、当事者の保護者の体験談としてこのようなものが伝えられました。

建築家になりたいと願う子どもと共に、小学校中学校は日本の学校で配慮を受けながら過ごしたものの、高等教育は、能力を伸ばすためのサポートを受けながら勉強を続けることが難しいことがわかり、思い切ってイギリスに留学したと。そして入学後、一通りのアセスメントを受けたのち、留学先の学校から受けた連絡は以下のようなものだったそうです。

「おめでとうございます!あなたのお子さんは、目指している建築家になるための能力が十分に備わっています。その夢をかなえるために以下のような学習環境の支援を提案します」。
学校側が、その子にとって最適な学習環境を提案してくれたとのこと。その方は実際に夢を叶え、建築家として国内外で活躍されています。

日本では、残念ながらこのようなサポートが受けられることはまれで、子どもに障がいがあると分かったところから、保護者が情報を求めて右往左往し、我が子に最適な支援や環境を求めて奔走し、時には仕事を辞めざるを得なかったというお話も聞きます。

「おめでとうございます!あなたのお子さんに最適の学び・育ちの場があります。以下のような学習環境と支援を提案します」。

日本でも、行政や学校側からその子にとって最適な支援が提案されるようにしたい。
一人ひとりの可能性を最大限に伸ばし、多様性に溢れた、誰も取り残さないインクルーシブな社会を作るために、舩後議員や他の議員と共に努力を続けたいと思います。


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