2021.09.16 12:09
国会における女性議員の割合は、フィンランド46%、日本15%(衆議院10.2%、参議院23.2%)。
月曜日、日本フィンランド議連の主催にて、「フィンランド女性議員ネットワーク」とのオンライン会議があり、国会における女性議員を取り巻く状況などについて、意見交換をしました。
フィンランド国会は46%の議員が女性。首相も女性、5つの党の党首も女性です。議場の景色は日本のそれとは全く違うものだと思います。
こうした状況を作りあげてきた背景にあると感じるのが、このフィンランド国会に作られた「女性議員ネットワーク」です。このネットワークには、なんと女性国会議員の全員が所属しています。
ネットワークは女性議員たちが集い、党派を超えて共通する課題について議論し、制度改正などを後押しているとのこと。
育児休業、女性の就業率、男女の賃金格差、ライフワークバランス、DVなど、ジェンダーに特徴的な問題について、無理解な男性議員からのヤジやからかいを気にすることなく、安心して話し合うことができる場であるというお話を聞き、とても羨ましく思いました。
家事育児との両立をさせるため、国会での働き方も夜間の会議をしないことや、土日に選挙区に帰っている事情から、月曜日の日程を配慮するなどの措置が話し合われ、そして実現してきたといいます。フィンランドにて昨年成立した、同意のない性行為を違法とする改正も、このネットワークの存在が大きくあったのではないかと感じます。
日本では、ジェンダー問題への関心・理解度の違いから、女性議員の中でも意見が分かれるものも多いと感じていますが、党派が違う中でどうやったらその差異を乗り越えて共通の課題にあたり一つの方向性を見出せるのか、フィンランドを見習いながら知恵を絞りたいと思います。
諸外国、特に欧州は女性議員を増やすことに以前からとても熱心で、無所属である私にも日本の現状に関しての問い合わせや、会議への参加のお誘いを頂きます。
つい先日も、ドイツの政治団体であるコンラートアデナウアー財団の求めがあり、日本の国会における女性進出の状況やEUに期待することなど3点について、ビデオメッセージを送らせて頂きました。
英語によるメッセージとなりましたので、以下に和訳文を載せておきます。
(下記に動画のリンクを貼りました)
日本は今後変わっていけるのか。
その行く末を海外からも関心をもって見つめられています。
今年、来年と国政選挙が続きますが、少しでも多くの女性議員が増えて、日本社会が抱える問題が解決されていくことを求めていきたいと思います。
<ドイツ・コンラートアデナウアー財団へのメッセージ>
●日本の国会におけるジェンダー平等の現状
ご存知のことと思いますが日本のジェンダーギャップ指数は120位で、これは女性が一人での外出や車の運転を禁じられている国々よりも低い順位です。中でも、政治分野における順位は147位。約700名の国会議員の中に女性は100名ほど。政党の代表や幹部も男性がほとんどで、昨年の菅総理の就任時には、女性がずらりと並ぶ北欧諸国の閣僚の写真と、高齢の男性ばかりが並ぶ日本の自民党幹部の写真とが並べられ、とある報道では日本は高齢男性だとばかりと揶揄されてしまいました。
たとえそうであっても、高齢の男性ばかりによる政治が日本の抱える問題を次々と解決していくのであれば、政治に対する不満も抑えられたでしょうが、子育てや教育、介護、環境など、日本の男性が普段関わりが乏しい政策が後回しにされることで、結果的に日本社会が抱える問題はより一層深刻に複雑になってきました。
●国会においてジェンダー平等を妨げている要因
政治に女性が少ない、増やさなければならないということへの理解は広がってきているものの、それでもなお女性議員が増えないのその一因は国民が政治家に求める理想像にあります。
民間では変わりつつあるのに、政治の世界ではいまだに24時間365日、国民のために働くことが求められています。家庭を犠牲にしてでも働く人が立派な政治家。
中でも、国会議員は、一年の多くを、平日は東京、週末は選挙区で仕事をするのが当然とされ、強靭な体を持ち、家事や育児、介護も全て誰かに任せられる人だけの、言い換えれば、仕事だけに専念できる人だけの職業で、こうした働き方をしなければ、たとえ当選したとしても再選はおぼつかないという状況があります。このような職業につきたいと普通はまず考えませんし、特に、子育て中の女性などは自分に務まらないという印象を持っているのです。
こうしたことを解決するには、クオータ制などを時限的にでも導入し、女性の進出を促す必要があると考えています。しかしながら、それを決めるのも当然、現職の男性議員が多い国会ですので、実現の目処はついていません。現在、各政党には女性候補者の割合を35%に引き揚げる努力義務が課せられていますが、強制力も罰則もないことから、現職の男性議員が多く、その人たちを差し替えることができないという理由で、与党ほど取り組みが進まない状況です。
●日本政治におけるジェンダー平等や包摂のためにEU(欧州連合)に期待すること
こうした状況ではありますが、諸外国の実践例は、自らの古い体質を改めるのには最も有効で、中でもEUの皆さんからは大きな勇気をもらっています。
一昨年出席したスウェーデン大使館の勉強会では、スウェーデンの国会議員は、自分で掃除、洗濯、買い物、料理をする一生活者としての側面が紹介され、事務所の食洗機に自分のカップを置きっぱなしにした議員がスタッフから咎められる場面や、首相が2分以下で自分のワイシャツにアイロンをかけられるなどといってアイロンがけを披露する場面が出てくるビデオを見せていただき、「自分たちも普通の生活をする必要がある、なぜなら、そうしなければ普通の人たちが何に困難を感じているのかわからなくなるからだ」と述べていたことは大変印象的でした。
日本の私たちからすると、北欧諸国は男女平等のトップランナーのように感じますが、そうした国でも、まだ男女が完全に対等とはいえないとして努力が重ねられていると聞きます。
北欧のみならず、EU諸国に留学や仕事で渡り、ジェンダーの問題に気づいた多くの日本人が祖国の現状を憂い、変えたいと頑張っています。
私たち女性議員ももがきながら努力をしています。ただ、同時に、日本は外圧によってしか変わらない悲しい現状があることもまた事実です。
どうか、これからも日本を監視し、圧力をかけ、国際会議等の場に女性の比率を増やすことなどを強く求めてください。日本の現状は当たり前ではないこと、そしてそれは変えられることだとのメッセージを送り続けてください。
皆さんが日本に関心を持ち続けエンパワーしてくださることに感謝して。