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一人でも多くの女の子が子宮頸がんワクチンを接種できますように

2021.09.24 16:12

子宮頸がんで毎年何人の方が命を落としているかご存知でしょうか。

毎年国内で1万1000人が罹患し、2800人が命を落とし、1200人が子宮を失っています(厚労省データ)。

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した末に発症するとされています。HPVは多くの人が生涯に一度は感染すると言われていますが、ほとんどの場合、感染したとしても体の免疫機能によって排除され、がんになることはありません。しかし、体調が悪かったり、何らかの原因で体がウイルスを排除することができなかった場合にガン化し、若年女性が命を落とす大きな原因の一つとなっています。

妊娠を契機に子宮頚がんが発見され、治療のために赤ちゃんを諦めることになるといった痛ましいケースや、出産を優先し治療が手遅れになったり、子宮の全摘出によって出産が叶わなくなることもあります。運良く早期に見つかって治療で根治できたとしても、手術によりその後の妊娠の際に早産のリスクが高まる場合もあり、子供を持つことを希望する女性の人生を大きく左右するものです。

このウイルスの感染を予防するワクチンがあります。性交によって感染するため、性交経験をもつ前に打つのが最適であるとして、現在、日本では小学校6年生から高校一年生の終わりまでの女子に対して定期接種として無料で受けられるようになっています。

しかし、日本の接種率は非常に低いまま止まっています。2013年に、ワクチン接種後に大きな神経症状が現れたとして、積極的な勧奨が一時的に差し控えられたためです。その後、様々な研究により、接種と症状との因果関係は認められないとの結果が得られたものの、未だ積極的な勧奨(予防接種時期を知らせるお知らせを自治体が個別に郵送すること)に至っておらず、当初70%あった接種率は1%未満に落ち込んでしまいました。その結果日本は先進国の中でも子宮頸がんで命を落とす女性が非常に多い国となっており、世界保健機関(WHO)は、ワクチン接種の積極的な勧奨が中止されている日本の現状を「若い女性をヒトパピローマウイルスによるがんの危険にさらしている」と批判する声明を出しています。


子宮頸がんワクチンは、3回の接種で完了します。初回から1〜2ヶ月後に2度目、初回の6ヶ月後に3度目というタイミングで受ける必要があり、少なくとも全て終えるのに半年が必要となることから、現在、高校一年生の方にとっては今月が無料で3度の接種を受けるための最後の月になります。公費負担の時期を逸してしまうと、一回につき1万5千円ほどの額を自己負担で受けなければならなくなります。

厚労省は昨年、積極接種の勧奨再開に先立ち、ワクチンの安全性・有効性を対象者に知らせるよう通知を出しました。それを受け、自治体では、対象年齢の子供がいる家庭への個別通知を再開しているところもあります。秋田県内も15の市町村でワクチンの安全性・有効性や接種時期に関するお知らせの発送を昨年から再開しています。

ところが、このコロナ禍。コロナ感染を恐れて外出や医療機関の受診をためらう中、接種時期を逃してしまう方が多くいらっしゃいます。さらに、現時点で12歳以上が対象者となっている新型コロナワクチンの接種との兼ね合いがあり、私のところにも高校一年生の女の子をもつ複数の親御さんから接種時期の延長ができないかとのご相談をいただきました。

コロナワクチンの予約がとれそうだが、接種の間隔を開けなければならないので、そのタイミングをとると子宮頸がんワクチンが受けられなくなるー。かといってHPVワクチンを優先すれば、コロナワクチンの予約が次はいつ取れるのかわからないー。

厚労省は、昨年3月、自治体に対して、地域のコロナ感染状況に応じた柔軟な期間の延長を認めるよう通知を出しています。事実、東京目黒区、大阪市、福岡市などは、「度重なる緊急事態宣言の発出等で機会を逃す人が多いのではと判断した」などとして理由を問わず一律の接種期間延長を認めています。残念ながら、ご相談いただいた方々の住む秋田市では、コロナに感染したケースや濃厚接触者となり外出できなかったケースなどごく少数の理由でしか延長が認められず、私の事務所からも掛け合いましたが、コロナワクチン接種を理由としての延長は認められないとのこと。

日本産婦人科学会は、今月初め、厚労省に対し自治体任せにするのではなく、HPVワクチンの接種期間を全国一律で当面の間高校三年生まで延長するようを求める要望書を提出しており、私も厚労省に強く要望しましたが、あとは自治体の個別の判断であるとしてなかなか動いてもらえません。

各自治体の議員の皆さん、対象年齢のお子さんを持ち悩んでいる皆さんにお願いです。

どうか、こうした声をそれぞれの役所に届け、期間の延長を働きかけてください。

月末までの期限を控え、対象者は、一度逃したら今度はいつ予約がとれるかわからないコロナワクチンの接種を受けるか、期間を逃せば高額な自己負担が生じる子宮頸がんワクチンの接種を優先するかの判断を迫られています。

「防ぐことのできる病気から守られる」ことは、国連が定めたこどもの権利の一つでもあります。

もちろん、もっと早くにHPVワクチンを受けておけば良かったとの指摘はあるでしょう。ただ、国が積極的な勧奨を控える中、保護者たちは、大切な自分の娘の最善の利益を考え、迷いに迷ってこの時期まできました。

国が一律に期間の延長を決定して通知すべきということを、私自身も働きかけを続けますが、皆さんからもぜひ声を届けてくださるようにお願い致します。

ご参考となる記事のリンクを貼っておきます。

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.kyoto-np.co.jp/articles/amp/624001%3Fusqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D


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