2022.09.16 13:24
元総理への襲撃事件を契機として、かつて大きな社会問題となった旧統一教会と政治家との繋がりが次々と明らかとなりました。
私自身も今回のことで、統一教会が名前を変えていまだ存在していたこと、今も被害を巡る裁判が続いていることなどを知りました。また、友人の父は、長年弁護士として被害者の救済に当たってきたために、同教会から数々の嫌がらせや脅迫行為を受けて、友人も子どもの頃に自宅でそうした電話を取り脅威を感じていたということを初めて聞き及びました。
政治家との繋がりは、単なる交流にとどまらず、国の制度設計に大きな影響を与えていたことも明らかになっています。
例えば、教団は選択的夫婦別姓や同性婚に反対していたことから、教団からの支持を失いたくない議員らがこうした課題に関して反対を主張したり、選挙の際の報道等のアンケートに対し、賛否を明らかにしない「未回答」としていたことも見えてきました。世論調査でも賛成が増えて多数派となっているこうした課題について、どうして世論と国会議員の意見がこんなにも乖離しているのか、そこにどんな力が働いていたのか、なぜいまだに実現されずにきたのかが、今ようやく理解できたと感じています。
自民党の富山県議会議員でもあり、産婦人科医でもある種部恭子氏は、ご自身の強い関心事項である性と生殖をめぐる健康と権利(SRHR:sexual reproductive health and rights)の課題である妊娠、出産、避妊や性教育などについて、いかに教団の意志が日本の政策を歪めてきたかを語っています。一例として、過去に性教育が学習指導要領に盛り込まれたことを契機に、自民党議員を通じ、科学的に既に効果が明らかとなり国際基準まで定められている性教育政策を批判、そして実施を妨害し、ついには議会の場での個別攻撃により教育現場を萎縮させ政策を変えさせたとのことでした。
性教育については、国際基準に従った年齢ごとの指導を行うことで、初めて性交を経験する年齢が上がること(セックスを経験する年齢が高くなる)、予期せぬ妊娠を防ぐ効果があることなどがかなり以前から明らかとなっていますが、残念ながら日本は、こうした不当な介入も一因となり性教育の後進国となっています。結果、未だ子どもたちが自分の身体を適切に守る知識から遠ざけられ、自らの身に何が起こっているのか知らぬまま性被害にあったり、若年妊娠等により困難を抱える若者が生まれ続ける現状が放置されています。
投票率の低さゆえもあり、こうしたごく一部の団体の強い意向が、一国の政策をこのように歪ませてきた可能性があることに驚き慄くと共に、議員として国民の重い負託を受けながらそうした勢力に結果として加担してきた方々に怒りを禁じ得ません。
各々の政治家がこうした問題を抱える教団や関連団体との付き合いを止めるのはもちろんのことながら、これから再び名前を変えて近づいてくるかも知れない団体に細心の注意を払うべきだと考えますし、深い反省とともに、これを契機に、こうして歪められた政策の数々を人権の観点から、そして科学的知見に沿って一気に見直し、先進国としてあるべき姿に近づくべきだと考えます。
子どもたちの最善の利益のために、志を同じくする方々と努力をしていきます。
こちらで、教団が性教育などに不当に介入してきた経緯が語られています。
https://www.knb.ne.jp//bangumi/news/article_detail.html?sid=8515&date=20220902&rid=18
尚、秋田県弁護士会は、旧統一教会をめぐる霊感商法などについての相談を受け付けています。連絡先:018ー896ー5599(平日の午前9時半~午後4時半。期間は11月30日まで)