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「歩けなくなっても大丈夫」と思える社会を

2023.09.26 16:49

敬老の日は地元の秋田市御所野地区敬老会に出席させて頂きました。多くの皆さんのご尽力で、コロナ禍を超え、4年ぶりの開催であったところも多かったものと思います。

今月の初め、実家の母が久しぶりに上京しました。

「実は少し前から足腰がおかしく、このまま歩けなくなったらどうしようと思っていた。本当に歩けなくなるのならその前に家の中を色々整えなくてはいけないし、学生時代の友達に会ったりするのはこれが最後かもしれないと思いながら東京に来た」と言われました。

70代前半ながら、3度の手術を経て、両脚に人工関節が入っている母。月に一度くらいは会って話をしていたものの、そんなことを考えていたとはつゆほども知らずにおりました。

先日、映画監督の山田洋次氏のインタビュー記事を拝見しましたが、91歳になるという山田監督は、「やっぱりみんな高齢者は『歩けなくなったらどうしよう』と不安を抱えてる。歩けなくなっても大丈夫、と思える社会を作れば、若い人も安心して子どもを産むんじゃないだろうか」と語っておられました。本当にその通りだなと思いました。

スウェーデンでは、目薬をさせない一人暮らしの高齢の方のお宅に、一日3回、介助の人が来ると聞いたことがあります。だから、親とちょっと離れて住んでいても、子ども世代も心配せずにいられる、と。新たに入所施設を作って運営するよりも、社会全体としてそのほうがコストはかからないし、なにより自分が快適に過ごせる場所について選択肢がある方が幸せだから、だそうです。

老いは分け隔てなく誰しもにやって来て、誰もが歩けなくなる時が訪れます。歩けなくなっても大丈夫、そう思えるように、終の住処を自分の意志で選択できる、住み慣れた家で暮らし続けたければそのための十分な支援がある、一人でも多くの方がそう感じられる秋田と日本を、母のためだけではなくて、これから老いていく自分や次の世代を含めた全ての人のために作っていく努力を、皆さんと一緒に続けていきたいと思います。

写真は9年前、手術を控えて車椅子生活だった頃の母。


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