2024.07.18 12:12
小さなお子さんを育てていらっしゃる方なら、一度は「ふじようちえん」の名前を聞いたことがあるかもしれません。でも、秋田市に「ふじようちえん」をモデルとして作られたこども園があることをご存知でしょうか。
秋田市土崎にある「こども園あきた風の遊育舎」を見学させて頂きました。
ふじようちえんの設計を参考に作られたという園舎は、ロの字形の園舎が中庭を囲むようにして建っており、中庭は大きな木が植えられていてちょっとした森のようになっています。さらに、平屋建てとなっている園舎の屋上は庭園になっており、ここでは園児たちが自由に三輪車などで周遊できるウッドデッキ、野菜などを育てる畑や、夏にはプールも登場します。ロの字形の園舎の中は壁がなく、クラスを超えてこどもたちが自由に行き来できるようになっており、自由遊びを中心とした保育・教育を異年齢で行うあり方は市内でも珍しいとのこと。
「こどもたちがどこに行ったか分からなくなったりしないのですか」との質問に、「こどもたちはみんな頭がよくて、自分たちがどこにいたらいいかは分かっている。どこにいたら先生が一番見ていてくれるかも知っている。だから意外とウロウロしないものなんですよ」とのこと。屋上庭園についても、計画段階では、転落事故などの心配がないのかと指摘があったものの、こどもはそんなことはしないし、そもそもフェンスに近づいたりもしないとのお話でした。
ここでは、こどもたちの自己肯定感や自尊感情を大切にする保育・教育ということが一番に掲げられています。こどもたちが目を輝かせてそれぞれにやりたい遊びに励む姿に、自信をもって今のやり方を広げ発展させてこられたとのこと。
年に何度かおもちゃなどの配置換えをもしているんです、と園長先生のお話。
こどもたちは一年の間にもどんどん成長していくので、こどもたちの成長においていかれないよう、こどもたちがつまらなくなって遊ばなくなってしまったおもちゃなどは置き場を変えたり、パズルでもピースの多いものに入れ替えたりという目配りをしているとのこと。
また、一目で見てわかるほど、公的な配置基準を上回る人員配置がなされている様子にも驚きました。インクルーシブを掲げて出来る限り努力しているものの、特別な配慮が必要となるお子さんを受け入れた場合の公的な手当てが十分ではなく、園の持ち出しとなっていることなども課題として教えて頂きました。
園内を案内していただきながら、我が子が乳幼児であった頃、我が子に最適な育ちと学びの場を模索し、あちらこちらの幼稚園を見せていただいたことを思い出しました。
変化の速い時代のなか、社会に出てから求められる能力も変わってきています。学校の一斉授業の是非も議論となっており、授業中は姿勢を正して先生の話を聞く、という従来のあり方がこどもたちの学びの形としてどうしても必要なことなのか、教育の最終目標が「一人ひとりのこどもたちが自分の得意を活かして幸せな人生を送ること」なのであれば、そこから必要なものを再度議論し、今までのやり方で本当にいいのかということを絶えず問い直していくことが求められます。
こどもたちの様子を見つめながら、こちらでは、この最終目的を見据えて、こどもたちの育ちと学びを支援している、そう感じられて胸を打たれました。
下記に、「こども園あきた風の遊育舎」と「ふじようちえん」のリンクを貼っておきますのでご興味のある方はぜひご覧ください。