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不登校仲間のみんなに届けたい

2024.08.22 14:35

新学期が始まるのを不安に思っている子どもたちも多いことと思います。

朝日新聞にも今日から不登校の子どもたちに向けた不登校経験者の連載が始まっていますが、同じく不登校経験者である私からも、今不安に思っている子どもたちと保護者の皆さんへお伝えしたいことがあります。

私は、中学・高校と不登校を経験し、高校は中退。大検(今の高認:高等学校卒業程度認定試験)をとって大学に進学しています。

私がどうして学校に行けなくなったのかを少しだけお話しさせてください。

不登校になる理由は様々ですが、私の場合は転校をきっかけに、転校前と後の学校の落差を感じたことが大きな引き金となりました。転校前の学校は、先生との交換日誌のようなものがあり、毎日そこに勉強や生活のこと、その他にも気持ちなど、なんでも書いていいことになっており、先生のほうも毎日コメントや勉強のアドバイスを書いてくれていました。先生が自分のことをわかってくれている、丁寧に見てくれている、そんな雰囲気が感じられるところでした。

ところが転校後の学校は大きく違うものでした。学校での体罰もまだ珍しくなかった時代、教科書を忘れたら理由も聞かずに大声で怒鳴って引っ叩く、校門には毎日指導の先生が立っていて、ちょっと休むとズル休みするなと言われれる、前髪やスカートが長いと私たちには言うのに、授業中にシンナー臭くなって戻ってくるような、きっと本当に助けを必要としているこうした子どもたちのことは見て見ぬふりをしているー。

全てが耐え難いと感じた私は、最近指摘をされるハイパーセンシティブチャイルド(HSC)、いわゆる「多感な子ども」だったのだと思います。

この学校にいたら私が私じゃなくなる、そんなふうに感じて、どんどん学校に行くのが辛くなりました。毎日の日課だった犬の散歩に出掛けて、このままどこかにいなくなってしまおうかと思っていた時期も。でも、犬がいるから結局は家に帰らなければならず・・・お金もそんなには持っていない子どもの選択肢は乏しいものです。優しい両親が悲しむだろうと思ったことも、私を思い止まらせていました。両親や弟を悲しませたくないから、家出もできない、死ぬこともできない。みんなの記憶から私の存在を消してしまうことができたらいいのに。ずっとそんなことを思っていました。そんなことを日記にも書いていたと思います。

学校にはもう行けないと思い、もう行かないと決めて両親に伝えた時、母は泣きながら、

「心配して日記を見ちゃった。死んでしまうんじゃないかと思って不安だった。世間体より何よりお前が大事。学校なんて行かなくていい。人生には悪いときといい時があって、静は悪いときが最初に来ているだけ。これから楽しいことがたくさんあるよ」と言ってくれました。

「それなら家で勉強したらいい。お父さんが学校に伝えてくるから」と父が言いました。

学校に行かないと決めてからも、両親がそれを認めて休ませてくれていても、「みんなは行っているのに行けない私はおかしいんじゃないだろうか。弱い人間なんじゃないだろうか」そんなふうに思って、消えてしまいたいと思う気持ちはなくなることがありませんでした。

高校進学後しばらくは楽しく通っていましたが、やっぱり同じようないわゆる管理教育の匂いがしてくると、やっぱりまた「行けない」という気持ちがよみがえってきました。行きたくなければ休めばいいと言ってくれた両親のおかげで、学校と勉強とを分けて考えることができ、「学校には行きたくない、でも、勉強は嫌いじゃないし、大学には行きたい」という気持ちを持ち続けることができました。そうして自宅で勉強を続け、大検(高認)をとることができて、今の私があると思っています。

私自身は、いままさに小学生の子育て中で、ようやく両親の気持ちがわかるようになりました。コロナ休校が明けて隔日登校から毎日の登校に切り替わることが決まった時、一年生の我が子は、「僕は2日にいっぺんでいいかな」と言いました。「学校ってそう言うものじゃないんだよね」と笑って言った次の瞬間、「このまま行けなくなったらどうしよう」そんなふうに不安になりました。私の両親はすぐに受け止めてくれたのに、いざ親の立場になったらこんなもの、、、と深く反省しました。でも、育児をしながら学んだ言葉、「Nobody’s perfect」、誰だって完璧ではない。皆さんのおうちの方が理解のないことを言うかもしれませんが、大人も完璧じゃないということを覚えていてください。

消えてしまいたいほど辛いのなら、学校なんて行かなくていい。

自分の得意を見つけて、それを活かして自分自身の人生を機嫌よく楽しく歩いていくことができるように、自分の道を選び取っていってほしい。学校に合わない自分が悪いわけではなくて、自分に合う選択肢が用意されていないように感じられる社会に問題があるのだから。

子どもの頃の自分に会うことができて声を掛けられるのなら、そんなふうに伝えたいとずっと思っています。

成績のこと、先生との関係、友達とのことー。今は心のほとんどを占めていて、永遠に続くように感じられることも、ほんの数年で見える景色は変わっていきます。今は辛くて身を固くして家にいるとしても、じっとしていてもジタバタしても、時間は同じように過ぎていきます。どうかその時期をなんとかやり過ごして、違う夜明けが来る日を迎えられるようにと願っています。

写真は、昨年発行された「高卒認定試験完全ガイド」のスペシャルインタビュー


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