2025.01.15 17:30
この4月から国際教養大学において学童保育、「AIU Kids」がスタートします。このAIU Kids、県が主導したものではく、2人のお子さんを子育て中のママ、山野井恵子さんが自分の子どもを通わせる学童をと願い、一から準備を重ね誕生することになったものです。
そしてその恵子さん、実は私の家のお隣さんなのです。
恵子さんは、教養大の事務局にお勤めで、弁護士をされている夫と共働き。子育てしている者同士のあれこれから、熊本のご出身の恵子さんから見える秋田の姿まで、いつも話が尽きることなく、楽しいお付き合いをさせて頂いています。
さかのぼること、今から2年前の冬。
近所の公園で子ども同士を一緒にそり遊びをさせながら、母親同士で話していたのですが、いつからか学童に関する話題に。
私が知る教養大の教員の方から「多様な環境で学び育つことができる学童や保育園はないものか」との要望や動きがあるものの、皆さんそれぞれにお忙しく、主体的に動ける人がなかなかいないため進んでこなかったという話をさせて頂いたのでした。
ここからの恵子さんがすごかったのです。
「じゃあ私が作れないか動いてみます!」と、教養大の中に学童を設置することを目的に下調べを始めたのです。ご自身も、子育てをしながら仕事を充実させることと、子どもの教育を充実させることの難しさを感じていたとのこと。
大学に保育園や学童の設置があるところはあるものの、運営主体はどうなっているのかなど、個別に調べないとわからないことが色々ありました。私も参考になればと学校施設を利用した学童を各地で運営するNPOの方をご紹介すると、恵子さんはすぐに東京に出張して話を聞かれるなど、精力的に準備を重ねられました。
それでも、なかなか全てが順調というわけではありませんでした。
多くの課題を整理して事業計画書ができた段階で、一度行政からストップがかかりました。それは、大学教育を行う施設がどうして学童をやるのか、と、総務省から物言いがついたことが原因でした。ここは私の夫の得意分野ということで、すぐに総務省に問い合わせ、そもそもこうした自主的な大学のあり方を止める権限があるのか、大学は公開講座など広く市民の教育にも資する活動を行なっているのに、その教育の対象が子どもとなるとなぜNGなのか、など疑問点を整理して話し合い、総務省からは一転OKが出て、大学と県庁間の話し合いも再び進むこととなりました。
その後も細かな話し合いを重ね、様々な困難もあったようですが、行政、NPOや県内の民間の方々の力強いご協力やご助言もあり、昨年11月には運営主体となる法人を設立、4月の開学に目処が立ち、先週金曜日の記者会見にこぎつけました。
小学生をもつ保護者の一人として、実現すれば絶対に人気が出るだろう、送迎のある地域の住宅需要さえ増すのではないかと夫と話していたのですが、案の定、記者会見を行った金曜の夕方にテレビニュース、翌日の朝刊紙面に取り上げられただけで、三連休の間に既に説明会の申し込みは定員に達し、早速二度目の説明会の開催を決めたとのこと。子育て世代にとって、自分の子どものためなら他県や海外にも移住する方もあることを思えば、国際教養大のような全国で名高い教育機関が初等教育の一端を担うとなれば、申し込みが殺到するのはある意味自明のことと思います。
恵子さんの行動に改めて気付かされたのは、望むものがなければ自分が作ればいい、というある意味当たり前のこと。秋田県人に多いのかもしれませんが、我が身を振り返り、商売や事業などというものは、代々続いてきた家の人がやることで、一個人がそんな大それたことを始めるものではないというような刷り込みに近い想いが私の中にもなかったかと反省させられました。
そしてもう一つ。
恵子さんの奮闘はもちろんですが、彼女がこうした活動を続けることができた背景には、夫Jさんの家庭内での大活躍があります。先に帰った方が夕食の用意をするというのがお二人の子育てルール。この間の多忙な恵子さんの陰で、連日の子どものお迎えや夕食作りは夫Jさんの担当でした。時には夕食にお招きいただくこともあるのですが、キッチンに立つのはいつも夫Jさんで、子どもたち同士が遊び、私と恵子さんが学童やら教育やらのことで話し込んでいると、いつの間にか食後のコーヒーやお茶やようかんまでテーブルに並べられていて、いつも恐縮しています。
夫が外で働き、妻が家事育児を担うという家庭がほとんどであった時代から、共働き家庭のほうが多数派となった今、共に働き、共に家事育児を担う家庭も増えてきています。それでもまだ統計を見れば、共にフルタイムで働く家庭でも、女性は男性の5.5倍の時間を家事育児に費やしているとのデータがあります。男性は仕事が終わってもどこまでが仕事なのかわからない飲み会に出かけ、家に戻ってこないというご家庭もまだ秋田には多くあるものと思います。
恵子さんのような女性の大活躍を支えるのは、共に働き共に育てるを自ら実践するJさんのような「夫の家庭内での大活躍」が背景にあります。学童開設の喜びと共に、そんなことを改めて思わされた、令和の素敵な共働き家庭のお隣さんです。
晴れて立ち上がったAIU Kids。
国際教養大学が持つ、多様な文化・教育環境の中で、教員や学生らとの接点なども生かしながら、子どもたちの豊かな未来を育むことを目的としています。学童保育は、ともすれば親が働いている間に子どもが時間を潰すところと捉えられる向きもありますが、本来は子どもが自分の興味関心にそって自由に時間を使いながら体験や経験を積み重ねることができるゴールデンタイムであり、共働きのほうが多数となった今、学童のあり方も多様になってきています。
もしご関心があれば説明会にぜひ足を運んでみてください。
申し込みのリンクを下記に載せておきます。
秋田の魅力と子どもたちの豊かな未来を拓く第一歩に、心からお祝いを!