2025.10.21 15:01
本日行われた総理大臣を選ぶ首班指名選挙について、私の行動と考えをお伝えしたいと思います。
石破総理が退陣を表明されてから約40日。
本日、ようやく新たな総理大臣が選出されました。
これまで与野党各党は、多数派の形成のために精力的に協議や駆け引きを繰り広げてきました。
一方で、私は党にも会派にも所属していない無所属議員で、いずれの党からも働きかけはなかったこともあり、自分自身の想いをそのまま投票を通じて示すこととなります。
これまでも首班指名選挙では悩んできましたが、今回は本当に深く考え込み、苦しみました。
その中で、私自身のこれまでの言動や、政治の世界に飛び込んだ時の初心に立ち返り、先ほど投票して参りました。
今回、私が首班指名で(1度目2度目共に)一票を投じたのは、高市早苗さんです。
その理由を以下に申し上げます。
端的に言えば、過去の自分自身の言動に責任を持つべきと考えたからです。
その言動とは、この6年間、選挙においても議員活動においても「女性が意思決定に加わることこそが何より重要だ」と絶えず訴え続け、その最たる形である「女性総理の誕生」を心から願い、過去の首班指名選挙においても毎回女性議員に投票し続けてきたことです。
高市早苗さんが自民党総裁に選出された際、初の女性総理誕生に期待する声が上がる一方で、「女性であれば誰でも良いわけではない」とする批判的な声もありました。
その理由は十分に理解しています。保守的な言動に加えワークライフバランスに関する発言など、私自身も高市さんの主張に賛同できない部分が少なからずあり、政治信条や価値観が一致しない人物が政治のトップに立つことに、ためらいや疑問がなかったわけではありません。
ただ、だからと言って今まで念願してきた女性総理の誕生を否定することは、私はできません。
女性総理が初めて誕生することは、「女性でもいつかは総理になれるのだ」と百回繰り返すよりも、はるかに大きな意義をもつからです。
正直に申し上げれば、以前まで私は高市さんのことがとても苦手でした。
でも、今は「失敗してほしくない」と願う自分がおります。
なぜ私にこのような感情が芽生えたのか。その理由がわかったのは、女性活躍やESG投資のエキスパートであるキャシー・松井さんの次の発言を目にした時でした。
「(高市さんの)政治的なスタンスに同意できない部分もあるが、率直に言えば、彼女の失敗する姿は見たくない。成功してほしい。なぜなら、彼女が失敗した時、女性であることと結びつけて報じられる光景が目に浮かぶからだ。」
「これは、彼女を支持するとか支持しないという話ではない。まずは、彼女のような経歴の人が、多くの男性が到達できなかった政治指導者への道を登り詰めたことを評価したい。その上で、政治的な安定を望む。」
「女性に過度に重きを置こうという話ではない。ただ、『見えないものはなれない』。この国の少女たちが、『ああ、この人が我が国の指導者なんだ』『この人が我が選挙区を代表する人なんだ』と仰ぎ見る時、そこに女性を目にする機会があまりないところに、ある種のシグナル効果があると私は思う。」
(オルタナ2025年10月記事より)
私も、まったく同じ思いです。
たとえ政策や価値観で賛同できない点があったとしても、子どもたちに実際に女性総理の姿を見せる効果は非常に大きく、「女性が初めて総理になること」そのものを見つめる姿勢こそが、社会を変えていく大きな一歩だと考えます。
高市さんのような主義主張の女性しか総理になれないのかとの声もあるでしょう。
それはそれで、日本の現状を映し出す鏡であり、これから将来にわたりこの国にも複数の女性総理が誕生していく過程の第一歩で、その道のりの先に、多くの女性たちそれぞれが望む女性総理の姿を見出すことができるだろうと確信しています。
6年前に初当選して以来、私は一貫して訴えてきました。
家事も育児も介護も、すべて誰かに任せ、政治という仕事に専念できた男性が主に意思決定をしてきたからこそ、今の日本の停滞があって、これを打破するため、女性が意思決定に加わることがなにより重要であると。
私は本気で「女性総理の誕生」を願ってきました。
だからこそ、その想いを込めて、嘲笑や批判を受けながらも、これまでの首班指名選挙では尊敬する伊藤孝恵さんに私の1票を投じてきました。
そして今回、私自身のこれまでのそうした言動に責任を持つべく、高市早苗さんに投票いたしました。
より個人的な胸の内を申し上げれば、日本の歴史上初めて女性総理が誕生するときにその方のお名前を書きたい、高市早苗さんに1票を投じ、ガラスの天井を破る新しい時代の幕開けを後押ししたいと考えました。
私を支援してくださった方の中には、与野党の構図の中で自民党への対抗心で応援してくださった方も多くいらっしゃると思います。
ですから、この選択によって、ご支援くださった方々に失望され、多くのものを失うかもしれません。また、女性の権利の観点等から同志だと感じてくださっていた方々からも厳しいご批判を受けるかもしれません。
そうした怖さや恐れが心を覆い、気持ちを揺さぶられたのも事実です。
それでも、これまで強く願い、訴え、行動してきた「女性総理の誕生」という現実を前にして、たとえ多くのものを失うとしても、心に湧き上がる想いに忠実に行動することとしました。
これからは胸を張って子どもたちに語りかけることができます。
日本でも女性は総理大臣になれる。
高市さんのような方でも、「女は短大でいい」と4年制大学の学費を親から出してもらえないなど、女性というだけで様々な理不尽を経験してきていることを語っておられました。その想いを、行政府における最高責任者として今後の政策決定に活かして頂きたいと強く願っています。
今日は事務所スタッフのお母様が、「初の女性総理の誕生の瞬間をこの目で見たい」と、本会議の傍聴にいらっしゃいました。朝の連続ドラマ、「虎に翼」の時代からは想像が出来なかったことかもしれませんが、私たちはようやく女性総理の誕生を見るところまで辿り着いたのだと感慨深く思っています。
次世代のために、性別によって翼を折られたり、諦めたりすることなどない社会を築いていけるように、私自身も懸命に努力したいと思います。
2025年10月21日
てらたしずか
写真は先日モンゴルで行われたアジア女性国会議員会議にて、各国の女性リーダーたちと。