ブログ

里親セミナーを終えて

2020.11.06 15:47

先日、里親についての理解を深めるため、秋田の事務所にてセミナーを開催させていただきました。
コロナ対策の観点から、人数を絞っての開催とさせていただきましたが、約20名の方が参加してくださいました。参加者からの熱心な質問に、4人の講師の皆さんも感激されていました。
議員となってから、様々な事情で実の親のもとで暮らせない子どもたちのために、里親を増やしたいと取り組んでいる私自身にとっても、とても有意義な時間となりました。

秋田には約200人の子どもたちが様々な事情で親のもとで暮らせていません。
そういった子どもたちは、児童養護施設や乳児院などの施設や里親家庭で暮らしています。

家庭で暮らせない子どもたちにとって里親はとても大きな意味を持ちます。
家庭とはこういうもの、というイメージをもってもらうことは、その子どもたちの将来にとってどれほど有意義なものかはかりしれません。

もちろん、各施設では、子どもたちを愛情を持って見守り、愛しみ育てています。
ただ、勤務時間による事情から、施設では朝送り出してくれる職員さんと、学校帰りに迎えてくれる職員さんは別の人です。特定の人との愛情や信頼を構築することが大切な時期に、1対1で向き合ってくれる大人がどうしても少なくなりがちです。
施設から里親家庭に委託され育った方の話では、施設にいたときは、控えめな性格であればあるほど「職員さん、今忙しそうだな」などと思って遠慮をしてしまうので、なかなか独占できる機会がなく寂しかったとのことでした。

数十名の食事を一度に用意しなくてはならない施設では、当然食事のメニューがあらかじめ決まっています。
「今日ご飯何にする?」とか、夕食どきに「何飲む?お茶?牛乳?」と聞いてもらうこともなく、お給料日はおかずが一品多いなど、普通の家庭にあるごく普通の当たり前がないのだと。

以前お会いした幼い頃実の家庭で虐待を受けていた青年は「施設は僕の命を救ってくれた。里親家庭は僕の夢と希望を育んでくれた」と話してくれました。
里親が早朝からお弁当を作ったり練習場所まで送ってくれたおかげで、大好きだった野球を続けられた、施設では一人にそこまでしてもらうことはできなかっただろうと。

里親と聞くと、以前は私もそう思っていたように、10数年ずっと子どもの成長を見守るという印象をお持ちの方もあると思いますが、実はごく短期の里親さんも重要な役割を担っています。

高校通学のために3年間だけというもの、
週末や長期の休みに預かる短期の里親、
お盆やお正月に親戚の子どもを迎えるように預かる、ごく短期の預かりをする家庭なども、貴重な機会として求められているとのこと。

セミナーの中で、そのような実態をお聞きになり、それなら踏み出せそうだと感じていただいた方もあったのではないでしょうか。

当日配られた資料を見返してみると、私が昨年秋に横手市の愛児園をお訪ねした時に頂いた資料には、
県内の里親さんは82組となっていましたが、今回の資料には104組と増加していました。
この1年で22組も新しい里親家庭が登録されたこととなり、相談員のみなさんのご尽力に感謝しているところです。

諸課題がないわけではありません。

国の指針では、親もとで暮らすことができない子どもたちの処遇先として、家庭養育(里親やファミリーホーム)を一番に検討するとの方向性が出ています。
それでも委託がなかなか進んでいないことの背景には、複雑な要因が絡み合っています。

今回のセミナーでお話を伺うなかで、実親の権利が強すぎて、子どもの最善の利益が守られていないと思われるところや、
国の全額補助を受けられる里親制度推進助成金が、十分活用されていないことなど、
私としても、秋田の里親への委託率を上げるためにできる課題、注力すべき点が今一度はっきりと見えてきました。

厳しい財政状態のなかでも、国は里親委託を推進するためにと総力を上げています。
この間に、なんとしても理解を広げ、登録者を増やし、委託率を上げていく必要があります。

不登校の子どもたちの集まるフリースクールでのボランティア経験を通じて私が感じているのは、子どもたちの声はいつも「声なき声」であり、大人の私たちがその声を丁寧に代弁していかなくては、子どもたちの利益は守られてはいかないということ。

全ては、一人でも多くの子ども達が豊かな人生を歩むことができるために、今後も頑張って参りたいと思います。

尚、里親セミナーは、5人以上の方が集まれば、相談員の方たちが説明に来てくれ、どなたでも開くことができます。
ママ友、趣味のお仲間、職場等でご興味をお持ちの方が集まったら、
下記のフォスタリング機関にぜひお問い合わせください。

〜秋田県フォスタリング機関一覧〜

秋田赤十字乳児院(秋田市広面)  018−884−1760
陽清学園(北秋田市)       0186−66−2104
感恩講児童保育院(秋田市寺内)  018−845−0483
聖霊天使園(秋田市保戸野)    018−838−1043
県南愛児園(横手市)       0182−32−6065

写真は、里親セミナーの講師となってくださった秋田県児童養護施設協議会の里親支援専門相談員の皆さんと。


最近の投稿

アーカイブ

トップへ戻る