2021.02.15 20:14
産まれたばかりの赤ちゃんが遺棄される、殺されるという事件が度々報じられます。
妊娠や出産は、家族に囲まれどんなに環境が整っていたとしても不安なものです。
商業施設のトイレで産み落とし、手にかけたとされる高校生は、変わりゆく自分の体と体調を感じながら、どれだけ不安で混乱し、苦痛を感じ、怖かったことか。想像を絶します。
そこに至るまで誰か一人でも親身になってくれる大人がそばにいたら、結末は違っていたのではないだろうかと。
どうしたら新生児遺棄をなくすことができるか。
遺棄をするに至った理由を考えていくと、そこには予期せぬ、望まぬ妊娠があっただろうと想像でき、それらを無くしていくことが大切だと考えています。
望まぬ妊娠を防ぐために私たち社会ができること。
さまざまありますが、今日は女性が主体的に利用できる避妊法についてお話しします。
現在、日本では男性が使う避妊具を利用する方法が一般的にとられる手段として広く普及しています。
しかし、男性用避妊具は失敗率が18%。これだけに頼って避妊をすることは確実とは言えないことが数字からわかります。
加えて残念なことに、男性からは「女性から求められた時だけ使う」という声や、女性からは「使って欲しいと言ったが使ってくれなかった」との声も聞かれます。
海外では、女性が女性の意思で主体的に利用できる様々な避妊法が普及しています。
注射や腕に貼るだけのパッチのようなもので、数ヶ月ほぼ確実に避妊ができる手段があることをご存知でしょうか。
海外では広く普及していて、しかも、若者には無料であったり、安価に提供されている国もあります。
結婚するまで性交をすべきではない、という勝手な理想論を押し付けるのではなく、現実を見た対策を政治がとっていかなければ、実際に苦しむのは若い世代、とりわけ女性たちです。
緊急避妊薬も、こうした女性が主体的に使うことができる様々な避妊方法も、WHOでは「必須医薬品」として、健康を維持するために誰もが安価に手に入れることができるべきものと規定されています。
日本の現状は、全くこれにそぐわないものなのです。
10代の妊娠では、産むという決断をしても、多くの困難が待ち受けています。パパ不在の育児をスタートさせる場合も少なくありません。
現在では、妊娠を理由に退学をせまることは文科省の通達で明確に禁じられていますが、結局は自主退学を促される場合もまだあると聞きます。育児と学業の両立はとても大変です。
退学すれば、その後長くにわたり、子育てや教育に必要な資金を得ていく手段も限られます。
母子家庭の貧困という困難に直結するのです。
こうした悲劇を防ごうと、多くのNPOなどが活躍しています。
「産むという選択をした子はそれだけでリスクをとっている。本人が選択したならジャッジせず、どんなときでも『命が誕生するのは素晴らしいこと』だと伝えて応援してほしい」
そんな支援者の言葉が心に残っています。
それでも防ぎきれなかった結果が、新生児遺棄、殺害、余裕のない育児をする中での虐待といった悲劇につながっています。
ひとたび望まぬ妊娠をすれば、女性が負うこととなる身体的、精神的、社会的リスクは甚大です。
赤ちゃんを授かる時期を女性が主体的に選ぶことができること、望まない妊娠を防ぐこと。
これが多くの母子の悲劇を未然に防ぐことに繋がると考えています。
避妊法について国会議員が語ること、女性が語ることは奇異にうつるかもしれません。
しかし、このような具体的な改善の積み重ねが、大きな問題を解決するのだと信じています。
PoliPoliというサイトで詳しくお話をしました。
ご覧いただき、シェアして頂けたら幸いです。
https://polipoli-web.com/projects/aZyt36nzCorJBBs0IAjg/story