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足りぬ視点、届かぬ声

2021.03.03 16:18

先日、オンラインではありましたが、選挙の際に応援頂いた皆さんに向けてお話しさせて頂く機会をいただき、改めてこの一年を振り返りました。
当日会場で聴いてくださった方には少し重複する内容ではありますが、ブログにも記したいと思います。

コロナ禍が始まり一年。
政府の対応に、それぞれ是非はありつつも、政治のなかに不足する視点が故に、届かぬ声があると痛感する一年でした。

ちょうど一年前の昨年3月、学校の一斉休校。
突然休校になっても、家には子どもたちを見守ってくれる専業主婦がいるものという前提のこのやり方は、この国の政治の現状把握能力の乏しさ、想像力不足を露呈させました。
私も含め、多くの子育て世代がパニックに。
オンライン授業なども行き届かず、子どもたちは教育を受ける権利を半ば奪われた状態となりました。
私の息子も3月に突然の休園。小学校も4月から2ヶ月間の休校、6月は一日置きの登校でした。
その間、夫婦で会社勤めというご家庭が一体どうやってやりくりしてきたのか。専業主婦であっても朝昼晩ご飯を作り、子どもの勉強を見て、自分の時間は全くありません。
皆さん、辛すぎてその頃の記憶がないぐらいの大変さだったと聞きます。

休校ばかりでなく、コロナ対策では首を傾げたくなる施策もたくさんありました。
マスク配布、定額給付金の前に話題になったお肉券やお魚券。
経済的に余裕のある人たちほど多くの恩恵があるGOTOトラベル、、、。

かたや、親の給料が激減したり、失業したり、バイトもなくなって困窮しているという大学生らに援助が届くことはありませんでした。
学費を一律免除してほしいという声が大学生からあがった時、多くの方が困る中でさすがに一律はどうなのかと一瞬私も思いました。
ですが、本来の私の考え方は大学院までの学費無料にすること。
それでなければ格差の解消はあり得ないと以前から考えてきました。
そうであるならば、どうして世界中が経験のない感染症不況に苦しむこのときに学費を免除できないのか。すぐに一律免除にすべきと思い直しました。
もし学費の免除が受けられず、高校や大学をその若者がやめることになれば、個人としても社会としてもあまりに大きな損失です。
今こそ未来の世代への投資が必要で、それは人権や人道的な観点からももちろんですし、資源の乏しい日本の未来を担う人材を活かすという観点から考えても重要なことです。

自殺は11年ぶりに増加に転じ、子どもの自殺は前年の4割増、女性は15%増です。
この数字は速報値であって、来月の確定値ではもっと増えることが確実であるとされています。
DV(家庭内での暴力)、虐待、望まない妊娠の相談も増加。
女子児童生徒の自殺は5割増で、次の世代が、次の社会の担い手となるはずの若者女性が自ら命を絶っているという危機的な状態です。

コロナ禍が炙り出したのは、日本は、女性や若者の視点が政策決定に活かされていない現実です。
女子供のいうことなんて聞くに足りないことだと思っている日本の政治のあり方そのものが問題だと改めて身にしみて感じたのがこの一年でした。

こうしたことをひしひしと感じながら臨んだ昨年秋の首班指名。
同じ歳の参議院議員、伊藤孝恵さんに一票を投じました。
「子育て、仕事、介護の両立がこんなに苦しくない社会を創りたい」とポスターに大きく書かれた文言に今も涙腺が緩みます。
子育て当事者、介護当事者として、愛する子どもを慈しみたい、大切な人の介護をしたい、働きたいという一個人としての思いを両立させていくことがあまりに難しいこの社会に対する痛切な思いがここに現れていると感じるからです。

伊藤さんは、2番目のお子さんが生まれた時に、耳に障がいがあるかもしれないと言われ、ショックを受けながらも、障がいがある子どもと大人を取り巻く制度や支援を調べに調べ、現実のあまりのひどさを知って産後うつになったといいます。
そんな時にインターネットで目にした、
「政治家は、納得のいかない法律や制度があればそれを直接変えることができる唯一の仕事」
「子どもたちの未来を作ることができる」
と書かれた旧民主党の候補者公募の広告を見て、
「世の中は障がい者に優しくない。社会は不公平だと愚痴をいいながらいきるのではなく、
不条理があるならそれを変える母としての人生を歩きたいと思った」
と公募に応募し、今があります。

この伊藤さんの選挙に挑んだ理由を知った時、私は、自身についての参院選後に新聞に掲載されていた一言を思い出しました。

「寺田さんはいろんな苦労をしてきた。だから彼女は困っている人をみたら放って置けないと思う」

選挙後の街の方の声を拾ったとされるこの一言に、どれだけその後の活動を支えられてきたか。そして同時に、私は伊藤孝恵さんについて同じように感じています。

首班指名での私の行動は奇異なものと捉えられましたが、世界では多くの30〜40代の女性が閣僚や党首、首脳として活躍しています。
連立与党五党の党首全てが女性というフィンランドでは、子どもが「男の人は党首になれないの?」と言ったといいます。
女性活躍と叫ぶのではなくて、現実として女性の参画している姿があるということは、子どもにも大きな影響を与えているのです。

まだ課題は山積みです。
例えば選択的夫婦別姓。すでに7割が賛成しているこの件すら、日本ではいまだに実現していません。
これは、夫婦の苗字が「同姓 or 別姓」という議論ではなく、「同姓強要 or どちらもOK」を問うものです。
世の中に半分いる女性、これから結婚するであろう若者たちの声を黙殺しているとしか私には感じられないのです。

ただ、諦めたら変わらない。諦めなければ、変えることができると知っています。
私もあの選挙で、皆さんからそれを教えていただきました。
あのイージスを止めた時のように、私たちの選択が、私たちの望む明日を作ることになります。

世の中を変えるためには自分の半径5メートルから変えるのだと教えられ、そのように努めてきました。
議員となった今、これからはさらに飛び出して、この日本の社会を、秋田を揺さぶっていきたいと思います。

写真:昨年11月の「政治分野における男女共同参画」に関する講演会


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