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男女同数である意味

2021.09.28 15:43

明日29日投開票が行われる自民党総裁選には、二人の女性候補が立候補しています。

候補者の半数が女性になったことについて、秋田朝日放送(AAB)の取材を受けましたので、お話ししたことをこちらにもまとめたいと思います。

今回、総裁選候補者の半数が女性となったことについて、素直に嬉しく思っています。

日本でも、さまざまな会議体で男女比を半数にしよう、あるいは少なくともクリティカル・マスと言われる3割、さらに4割にしようという試みがなされています。環境省の審議会は男女半数となりました。また、依頼される側の意識の変化もあり、男女比が半数でない会議体の委員は引き受けないという男性の有識者も出てきています。そうしたことを考えれば、実質的に日本の総理大臣を決める総裁選挙で男女比が半数になったことは画期的だと考えています。

それは、「女性活躍」と100回叫ぶよりも、女性が総理になるという可能性を目の当たりすることの方が、子供も含めて国民の意識を変えていくと思うからです。

女性総理と5人の女性党首がいるフィンランドでは、子供が「男は党首になれないの?」と親に聞いてきたそうです。逆もまたしかりで、日本人は無意識に女性がトップになることはないと刷り込まれています。男性と女性が会議室に入ってくれば、多くの方が、男性が社長で女性が随行者だと認知してしまうそうです。

そういう意味で、女性が日本のトップとしてさまざまな課題の解決にあたる姿を見せることは、国民の潜在的な意識を劇的に変えていくものと信じております。

このような話をすると「性別ではなく能力で選ぶべき」との意見が寄せられます。

一見、もっともらしい意見ではありますが、それは女性が、男性と何ら変わらない形で物事に挑戦できる前提条件や環境が整った後に成り立つ意見ではないかと思うのです。

そうした発言をする人の中には、日本では、そもそも女性が活躍する機会が平等に与えられていないということを理解していない方がいらっしゃいます。

例えば家庭においても、男女の兄弟がいたら、「男だったら大学に行くべき」とか、「女の子なら短大ぐらいでいい」とか、女の子が挑戦する機会を奪う考え方は、未だ完全に拭われずに残っています。

家庭の中ばかりではありません。

オリンピック組織委員会の前会長の森氏は「ここにいらっしゃる女性はそれなりの場数も踏んで・・・」などという発言をされました。しかし、多くの女性はそもそもその場数を踏む機会を与えられることが少ないのです。

コラムニストのジェーン・スーさんは「『そろそろあいつにもこれぐらいのことを任せてみよう』という期待値で女性に仕事が回ってくることはない」と述べています。
役員の3割を女性にと言われても候補者がいない、というのもよく言われることですが、そもそもその昇進の前提となる研修の機会を女性に平等に与えているでしょうか。研修を受けているのが男女半数でなければ、女性の候補者が少なくなるのは当然の帰結です。女性の意欲の低さが理由ではありません。

また、共働きの家庭の方が多くなった今でも、日本の家事育児負担は未だ女性に大きく偏っています。その差は5倍。さらなる負担を嫌って女性は昇進の打診があっても受けたがらないという課題もあります。女性が家庭の外で活躍するためには、男性に家庭の中でもっと活躍してもらわないといけません。

そもそも、「能力で」という話がでるときに、そこに、仕事に専念できる人、夜間休日を問わず動ける人という意味合いが含まれていないでしょうか。

残念ながら今の日本は、小さい子供がいる女性には「子供が病気になったら面倒を見る人はいるのか」「いざという時に残業などで頼れない子持ちの女性は使えない」等、職場で言われてしまう社会です。

家事や育児の負担の多くを女性に任せておきながら、その一方で、仕事に専念できない人は能力が低いと評価することが、如何に理不尽で不公平なのか「性別ではなく能力で選ぶべき」と意見する方には理解してもらいたいと思います。

繰り返しになりますが、今回の総裁選候補者の半数が女性となったことについて、素晴らしいことだと思っています。

背景は様々あろうかと思いますが、大きな舞台に男性と変わらず女性が挑戦できたことは画期的なことです。総裁選の結果がどうであれ、男女比が同数の総裁選が行われたことそのものの意義は決して小さくありません。

労働組合の連合の次期会長も女性となるとの報道もありました。

いま、男女格差指数が120位という恥ずべき位置にいる日本が、大きく変わっていく入り口に立っているのかもしれません。

この流れが、いわば昭和の悪習にあぐらをかいている他の政党や団体、企業らを突き動かしていくと信じています。

意思決定層の世代交代、女性の更なる活躍によって、行き詰まった日本の仕組みを立て直していくときが来ています。

下記にAABニュースのリンクを貼っておきます。

https://www.aab-tv.co.jp/news/detail.php?e=21092716290059


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