2021.10.04 16:50
新しい自民党総裁が決まり、本日国会にて、新しい総理大臣を決める首班指名選挙が行われました。
首班指名は、会派の中で指名する方を決めますが、私自身は無所属なので従うべき方向性はありません。
ですので、私自身が持っている問題意識、目指すべき社会の姿、国のかたちを考えながら、どなたに総理になって頂きたいのか、これからの日本をどういう方が引っ張っていくべきなのか、改めて自らの考えを整理をし、投票先を決めました。
そして、昨年に引き続き、同世代の先輩議員である伊藤孝恵さんの名前を書きました。
伊藤さんは愛知県選挙区選出の46歳の女性、私より3年前に当選した方です。
「子育てと介護と仕事の両立が、こんなに苦しくない社会を作りたい」
伊藤さんのポスターに書かれたこの言葉を見るたびに、今でも目頭が熱くなるのを感じます。
その言葉の背景には、ご自身が介護と育児に忙殺され、右手に大人のオムツ、左手に子供のオムツを握りしめて立ち尽くした経験があると聞きました。
政治を目指したのも、二人目のお子さんに障がいがあるかもしれないと言われ、障がい児・者を取り巻く制度を調べて絶望し、社会を変えたいと願ったからでもあります。
伊藤さんはいまの日本が抱える問題、そしてその問題を一手に担わされている女性の立場を、身を持って経験されている当事者そのものであると思います。
私が政治の世界に飛び込む前から感じていた女性の苦しさは、いまだ解消されることなく、むしろ負担は重くなる一方です。
どうして、いまだに女性だけが仕事か結婚・育児かの選択を迫られるような現状があるのか。
どうして、働きたいと思っても保育園が見つからないのか。
どうして、ぎゅうぎゅう詰めの恵まれているとは言い難い環境の学童に、自分の命より大切な我が子を預けて働いているのか。
どうして、生まれてきた子供に障がいがあっただけで、我が子のケアのために、全てを諦めなければならない孤独な社会は変わらずあるのか。
どうして、結婚して子供を育てることが「女性の幸せ」だと言われるのか、人それぞれの選択があっていいはずなのにー。
女性たちは、今も様々な葛藤を抱えながら、忙しい日々を駆けずり回っています。
私が立候補を決めたとき、話し方や発声の仕方を教えてくれたのは元アナウンサーの女性でした。
社内結婚をし、夜に仕事をしていると「旦那さんが可哀想」「子供がかわいそう」「結婚も仕事も子供もなんて欲張りだ」と揶揄され、本当に辛かったと。それだからこそ、そうした社会を変えるために頑張ってほしいのだと言われました。
また、立候補を悩んでいたとき、背中を押してくださったのは友人のお姑さんでもある元厚生労働大臣の小宮山洋子さんでした。小宮山さんもまた、仕事と育児を両立させていた時、タイムカードに「退職勧告」と朱書きされるなど、酷い嫌がらせを受けた過去を打ち明けてくださいました。
もちろん、先の世代の女性たちがそれぞれ頑張ってくださったおかげで、昔よりは遥かに女性が働きやすくなりました。でも、まだまだ、まだまだです。いまだ、仕事か結婚・育児かを女性だけが悩まなくてはいけない現状は残っています。
研究者の道を選んだ友人たちも、今も独身であったり、結婚していれば、家事育児に追われ女性たちだけキャリアを積めずに取り残されています。不妊に悩むのは嫌だからと早く出産をして、そこからキャリアを積もうとした20代の医師の友人も、幼な子のいる女に行かせる研修先などないと断られ苦労しています。仕事が楽しく34歳まで結婚しなかった私は、不妊に悩んだ期間を経て第一子を授かったのは38歳の時でした。
「女性である限り、女性であるというだけで、どういう道を選んで誠実に努力をしても、その人生はまるで出口など最初からない迷路のようだ」ととある小説の一文が今も胸に突き刺さっています。
こうした理不尽をなんとか私たちの世代で終わりにしたい。
そのためには、この時代の困難を自分たちの課題として引き受け、何も言わずとも自分たちの気持ちをわかってくれている、同じ困難を今ともにしている伊藤さんに総理になっていただきたいと考えるのです。
昨年の首班指名選挙と、同じ行動となりました。
でも今回は、もう一歩踏み出そうと思い、首班指名の前に無所属の議員のみなさんらにお会いし、伊藤さんを指名する私の気持ちをお伝えしました。もしかしたらお一人でも同じ行動をとってくださる方が出ることを期待してー。結果は、残念ながら、昨年と変わらぬ私だけの一票となりましたが、皆さんから様々なお考え、お気持ちを賜り、同じような想いを持っている方もいらっしゃることが分かりました。
諸外国の改革スピードから取り残された日本ではありますが、それでも、前回のブログでも触れた通り、確実に変化の歩みを進めています。
決して逆行しないように、少しでも前に進んでいくように、これからも真っ直ぐ歩んでいきたいと思います。
てらたしずか