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自己責任論の先にある社会:少年法のこと

2021.10.28 14:33

子どもは、当たり前ですが、生まれてくる環境と親を選ぶことができません。

家に帰れば温かいご飯、お風呂、季節にあった寝具、誕生日にはケーキとご馳走ー。

こうしたものが当たり前ではない子どもたちのことを改めて考えるきっかけとなったのが、先の国会での少年法の改正審議でした。

犯罪に手を染めた子どもたち。

背景にあるのは、家族の温かい愛情ではなく、度を越した酷い叱責、ネグレクト、暴力、性的虐待、親から万引きや売春を強要されるなど過酷な環境です

家庭裁判所の調査官など、少年少女の行為の背景を丁寧に見つめてきた多くの大人の尽力で明らかとなったのは、「加害者」といわれる少年少女らが、多くのケースで「被害者」でもあったという事実でした。

そうした過酷な産まれや育ちの影響を考慮し、これからの人生が確かなものになるように、大人たちが愛情をもって根気強く一緒に更生を考え寄り添っていく。

それが、本来の少年法のもつ理念であったはずです。

事実、この少年法のもと、未成年者による凶悪犯罪は1/3に減りました。ところが、今回の改正は自己責任と厳罰化に大きく舵を切るものでした。

誰もが親を選べない。

自分が今恵まれた状況にあるのは、自分の努力の結果ではない。

上野千鶴子先生が東京大学の入学式で話された言葉をここに引きます。

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あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。(中略)がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

ーーー

自分は恵まれていた。でも、周りには決してそうではない友人たちがいたことも知っているー。

こうした考え方のもとに、夫は法務委員会に所属し、少年法改正を阻むべく質疑に立ち続けました。

自己責任論では少年少女たちは更生できません。そして道を外れた彼ら彼女らを放置することは社会全体の損失です。

恵まれた環境を、そうではない子どもたちのために、活かすことができるように。てらたまなぶを再び国会に送っていただきますよう心からお願い申し上げます。

▼下記リンクより、てらたまなぶ の少年法改正に関する質疑(法務委員会)の動画をご覧頂けます。

https://www.facebook.com/teratamanabu/videos/475924570279577/

▼てらたまなぶ の少年法改正に関するブログはこちらです。

https://www.manabu.jp/blog-entry/2021/04/28/1390/


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