2022.02.11 12:59
この場にて、今夏の参議院議員選挙についての私の考え方をお知らせしたいと思います。
「孤絶する1人、苦しむ1家族のために、99人が配慮する社会は作れないのか」
この言葉は、私が3年前に参議院選挙に立候補した際、目指す社会として掲げた想いです。
これは、私が以前に取材を受けた一冊の本に書かれていた言葉。
遷延性意識障害(植物状態)を経て亡くなった弟の介護や家族の苦悩、そして困難のうちにあるときに声を上げることの難しさを知るものとして目指す社会と致しました。
幸運にも議席を授かり、自身の6年を、こうした声なき声に向き合い、全体から見たらささいなことかもしれないけれども、当事者にとっては大きく生活を左右するような課題に取り組み、努力を続けております。
活動を始めてから、本当に多くの出会いと、心揺さぶられる想いを受け取ってきました。
秋田には、懸命に活動を続ける方々が沢山いらっしゃいます。
重い障がいをもつ子どもとその家族を支えたいと仕事を辞めてデイケア施設を始めた方、障がいをもつ兄を亡くし、その兄のような人たちを就労の場につなげたいと就労支援事業所を立ち上げた方、ひっそりと弔われる流産した赤ちゃんのための小さな棺を作り、既製品にはない手のひらほどの産衣を縫う女性の集まりを続け、その集いが結果としてDVや孤立などに苦しむ方の支えとなり、地域の包括支援となる活動を続けている方、児童養護施設を出た若年者を支える活動を個人として続けている方、県内の多くの場で、教員や保護者などの立場から見えてきて子どもの貧困を放っておけず子ども食堂を始めた方々など、この仕事をしなければ知り得なかった多くの方とのご縁をいただき、支援をしたいと思いながら、私自身がその方達に励まされる場面も多くありました。
こうした活動を通じながら、人それぞれの人生の中にある、苦悩や困難を知り、こうした声を国政に届け、小さなことではありますが、運用の改善などを通して前進させることができたものもあります。誰がやっても同じだという声に心が折れそうになる時もありますが、2年半が経った今、自信を持って言えるのは、誰がやっても同じということは決してないということです。
ヤングケアラー、孤独孤立対策、生理政策など、ひとりの議員が発端となり、粘り強く周囲を巻き込みながら問題提起したことで、国は動き、困難の最中にある人を助けていきました。一人ひとりの議員が問題意識を持って働きかけていくことで、物事は、法律や制度の運用は確かに変わり、日本という同じ船に乗っている誰かの生活や人生の質を確実に左右していきます。時には命を救うことにも繋がる重い責務を、議員の一人ひとりが担っています。
しかし、まだまだ拾えていない声があまりにも多いのも事実です。
なぜ、多くの国会議員がおりながら、声が拾えきれていないのか。
その1番の原因は、同じような政治家ばかりが議会に集まっているからだと思います。
国会には、約700人を超える国会議員がおりますが、その多くが男性で、家事や育児、そして家族の介護に至るまで、そのほとんどを誰かに任せて「政治」という仕事に専念している方々です。
同質の人たちが集うことで、その方達に聞こえる声は実態以上に大きな声となり、反面、届かぬ声、今の政治から見えていない人の声は、世の中に「ほとんどいないもの」とされています。
政治に期待できないと嘆く方が絶えないのは、まさにここにあるのではないでしょうか。
今夏の参議院選挙秋田選挙区を眺めてみた時に、同じことが言えると私自身は感じています。
これまで、石井浩郎氏、村岡敏英氏が立候補を表明されておりました。
お二人は、共に立派な方であると思います。お人柄やご経験は素晴らしく敬服しております。
ただ、その政治のスタイルは、政党や、業界団体、市や町の有力者の声を聞き政治に反映させる、いわゆる従来のもので、その役割自体は否定しないものの、国会にも県内にも同様の役割を果たす議員が既に溢れており、「この人がいなければ拾えない声がある」と私には思えないのです。
コロナ禍の中、女性や子どもの自殺が増えました。影響は誰もに平等に降りかかるようで、皺寄せはより弱いもののところに行くことが、このことだけ見ても、明らかになっています。
だからこそ、今、そうした弱い立場に置かれている人たちの声に耳を澄ませることの重要性が増しているのだと感じています。
国から予算を引っ張ってくる、という従来の役割は、より地域に深く関わる衆議院議員の方々にお任せし、いま県内にある子どもや女性、障がいのある方、ご高齢の方、なんらかの理由で少数者と言われる方など、黙っていると社会的に弱い立場に追い込まれてしまう方達に寄り添い、声を聞き、自らの生活実感を通してその一つひとつに向き合って解決を目指す方に議員になって頂きたいと思います。
いまの政治に足りない、声なき声を拾う方に、本当の意味で新しい方に頑張ってほしい。
知名度がなくても、政治の経験がなくても、地域で苦しむ一人ひとりの声に寄り添う想いがある方に立候補してもらいたい。
その為に、私自身で候補者を擁立すべく努力しようと決めました。
政党に任せっきりにせず、もし考えに賛同してくださる方々がいれば共に手を繋ぎ、努力したいと思います。
私には、所属する政党も組織もありません。資金的な余裕もありません。
7月の選挙まで残された時間も限られています。それでも、永田町に溢れる同じような政治家に希望がもてないと感じている方々に新しい選択肢を提案できるよう、自分自身でなんとか候補者を擁立したいと考えています。
政党や支援団体にとらわれず、共に無所属でただひたすらに弱いもののために働いていく候補者を見つけたい。
意中の方が既にあるわけではありません。
一から探して、同志を募るところから始めます。
私一人があがいたところで、最初は小さな動きにしかならないと思います。それでも、いまの政治に見捨てられていると感じる方や、その方達を救おうと努力されている方々と力を合わせ、大きな動きに持っていければと願っています。
孤絶する1人、苦しむ1家族のために、99人が配慮する社会を作るために、全力で努力をしたいと思います。
2022年2月11日
寺田 静
追記:
この想いをお伝えしようと記者会見を設定していた最中、共産党公認として藤本友里さんが立候補を表明されました。
藤本さんは3年前の参院選において、苦しい秋田の生活者の声を届けたいと、共に努力した仲間であると私自身は感じています。今後、政党間等でどのような動きがあるのか分かりかねますが、まずは状況を見守りたいと考えております。