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不登校児は教育を変えるパイオニア

2019.08.26 13:39

今日から多くの学校が新学期を迎えたことと思います。
学校に行きたくない。学校に行けない。いままさに辛い気持ちの子供達と、その保護者の皆さんへ。

昨日、母校を会場に行われた「登校拒否・不登校を考える夏の全国大会」で、不登校経験者が語るリレートーク「私はこう歩んできた」に登壇させていただきました。

不登校になったら進学も就職も結婚も出来ない、時としてそんなことを言われる不登校の子供達。では、不登校を経験して大人になった人たちは、その後どんな人生を歩んでいるのか、という趣旨の企画です。

かつて不登校児として、自分の未来に不安を感じていた一人として、今悩む子供達に語りかける機会を頂きとても嬉しく思いました。

そこでお話しさせていただいたことをこちらにも。

てらたしずかと申します。先月、参議院議員にならせて頂きました。
私は秋田県横手市生まれですが、父の転勤でそこから青森・茨城・秋田と転校し、中学3年で転校した学校がいわゆるマンモス校で、管理教育の側面が強く、それがきっかけに不登校になりました。高校に進学したものの、やはり同じように管理教育的な雰囲気が気になるようになり、中退の道を選びました。その後、大検をとり、奨学金をもらって早稲田大学に進学、東京大学の研究所に勤めました。
その間、フリースクール東京シューレ学生ゼミに参加、シューレ、フリースクールジャパンフレネでボランティアスタッフを務めました。現在は5歳の息子の子育て真っ最中です。

幸いにして、不登校に関して私の両親には理解がありました。
私が学校に行きたくないと言った時、
「じゃあ家で勉強したらいい」と即座に言った父。
「学校なんて行かなくていい。世間体より何より一番あなたが大事。人生にはいい時も悪い時もあり、たまたまあなたは辛い時が初めにきてしまっているだけ。その分これから楽しいことたくさんある」そう言って抱きしめてくれた母。

また、高校中退時には、かつての恩師から、
「私も服装検査やら何やら、管理教育臭さが嫌になり定年まで2年残して学校を辞めた。学校に違和感があるのはあなただけではない」との手紙をもらいました。
また、高3の秋に大検に合格した際には、子供の頃からお世話になっていた方が
「半年早く高校を終えたのと同じじゃないか」と言ってお祝いをもってきてくれました。

不登校の経験は、必ずしもマイナスではありません。
アルバイトの応募で、高校中退や大検取得と書いた履歴書を出すといつも目に留めてもらえ、大検て何?なぜ中退したの?と聞かれ、そこから色々話が始まり、面接ではあまり落とされた経験がありません。東大の研究所の仕事のときも同じで、この時は3,40人の応募者の中から選んでもらえたのだと聞きました。

選挙に出ないかと言われたのも同じ。
私に白羽の矢を立てて下さった方は、ボランティアもいいが、議員になり教育の制度を変えられたらもっと多くの子供達の助けになれるのではと言って私を説得されました。

高校を辞めた時から、不登校をしていた時の自分にとって、こんな人がいたら励まされる、そんな生き方ができるようになりたいと思ってきました。
周囲のさまざまな雑音から守ってくれた両親に、あなた達の対応は間違っていませんでしたと証明したかったということもあります。

以前ブログに不登校の経験を書いた際、今は多様性が進み選択できる社会になったはずなのに、学校では子供達はあいかわらず選択肢を与えられない。そんな学校の中では、子供達にしわ寄せが行きストレスをためている、そんなコメントを寄せてくださった方があり、本当にその通りだなと思いました。
もちろん、現場の先生達は忙しい日々の中で懸命に努力をしてくださっています。ただ、学年ごとにこれを身につけるべきとの指針が細かく決まった現状のもとでは、裁量が乏しく、できることにも限界があるだろうとも感じます。

大学時代からあちこち海外を歩くなかで、諸外国では学校のあり方も教育ももっともっと自由なのだと知ることができました。
狭い日本で、がんじがらめの学校というレールを外れたからと言って何を心配することがあるだろう。この道しかないなんていうことは決してなくて、道はいくらでもあります。

留学先のハワイで、現地の友人の子供が通う小学校を見学しに行ったら、掲げられた標語はこのようなものでした。
「enjoy life」
衝撃でした。日本の学校のほとんどでは、こんなことは言ってくれません。いま子供を持ち改めて思うのは、学校で、これだけ教えてくれれば十分だと思うのは「人生は素晴らしい、人生を楽しもう」ということです。


改めて、学校に行きたくない、学校に行けないと悩んでいる子供達に。

私は、今不登校をしている皆さんから、大きな力と勇気をもらっています。
学校が嫌で、違和感があったのは私だけでなかったのだと。

同時に、今も多くの子供達が同じように苦しむ現状がある、未だに変わっていないことに、経験者として、教育を変える努力を微力ながらしてきたものとして心苦しさを覚え、改めて変えていかなければと大きな使命感を授けてもらっています。

いま、皆さんは苦しい思いをしているかもしれません。
でも、自信を失わないでください。未来を悲観しないでください。
皆さんがいけないのではなくて、皆さん一人ひとりに合った学びの場が用意されていない社会の方に歪みがあるのです。

学校がおかしい。教育が変わってほしいと警鐘を鳴らす皆さんは、その一人ひとりがこれからの教育を変えるパイオニアです。

いま40代半ばになって皆さんに自信をもって伝えたいこと。
それは、学校なんていかなくても、いくらでも道はあるし、むしろ人の数だけあっていい、それが本来の姿であって、自信を持って自分に合っていると思う道を自分のやり方で歩んでほしいということです。

不登校の子供を抱えて悩む保護者、フリースクール等で支援をする関係者の皆さんにも、パイオニアの道を歩く子供達の人生を見守る、伴走者であることに誇りを持って楽しんでほしいと思います。
私の両親だって、私の今の状態を決して思い描いてはいなかったはず。
今は想像がつかなくとも、私のように国会議員になることだってあるかもしれません。

皆さんは、一人ひとりがこれからの教育を変えていくパイオニア。
パイオニアは、他の人が通った道を歩くより必然的に苦しい。
でも、大丈夫。いま辛くても、長い人生にはこれから沢山の楽しみが待っていて、子供時代のひと時学校に行かなかったなんてささいなことだったなと思う日が必ずやってきます。

今不安や悩みの中にある全ての方達に、かつての当事者としてこれらのことをお伝えできたら、望外の喜びです。

8月26日
てらたしずか


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