ブログ

子を持つ親として

2020.02.28 19:23

記者から、休校に伴う学童保育の費用について問われ「つまんないこと聞くね」と嘲笑した財務大臣に怒る余力もなく、私たち子育て世代は頭が真っ白のまま、来週からの諸々の手配に追われ週末を迎えます。

政府は、コロナウイルス対策として、週明けの月曜日から全国すべての小中高を臨時休校とするよう、各自治体に要請しました。
この要請通りならば、全国の小中高の子供たちは、新学期が始まるまで一ヶ月以上家にいなければならないことになります。

大したことないとお感じになられる方もいるようですが、子供が突如として一ヶ月も家にいることになった衝撃は、子育てをしている当事者にとって相当なものです。特に、共働き世帯や、シングル家庭にとっては、なんとか回していた日常の生活が破綻しかねない一大事ですし、仕事を休めば収入が減る勤務形態をとる方にとっては家計がすぐに行き詰まることは目に見えています。

「突如として」学校が休みになって、「長期間」子供が自宅にとどまることが、何を引き起こすのか。
その想像が、この要請を決めた人達の頭の中にあったとは、今の時点では思えません。

政府は、感染拡大を防ぐために大人数が集まることを極力避けるよう呼びかけています。
その一環として(効果のほどは専門家でも測りかねるようですが)、学校を休校とするよう呼びかけた動機自体は理解できます。
ただ、物事はそう単純ではありません。

私たち世代の多くは、労働者の顔と、子育てをする親の顔の両面を持ち合わせています。
突如として実施される全国一斉の休校措置の苦労と負担は、日々懸命に働きながら子育てをする世帯に容赦無く降りかかってきます。
いくらコロナ対策とはいえ、未だ子育て世帯に対する柔軟な体制が整っていない日本社会で、この突然の負荷は非常に重いものです。

スタッフからも困惑と動揺の声が上がりました。私や夫の事務所には、学童期の子供を抱えるスタッフが複数います。
低学年の子供たちだけで留守番をさせるわけにはいかない。留守番ができる歳の子供でも、給食の代わりのお昼ご飯を毎日用意しなければなりません。一ヶ月以上部活もなく、図書館も児童館も閉鎖され、仕事と両立させながら、どのように子供と過ごすのか頭を抱えています。

事務所ではこれ以前より、柔軟に働くことを促進しておりました。学童期の子供がいるスタッフは自宅でできることは自宅で、出勤する必要がある時は子連れで出勤しても大丈夫な環境です。

また、コロナウイルスの話が出てからは、電車で通うスタッフは満員電車をさけ時差出勤するようにしていました。

ですが、問題はうちの事務所のように柔軟に働けない職種の方々をどう支えるのか、そういう方々の子供たちの安全をどう確保するのか、だと思います。

看護師の確保が難しいとして、北海道では機能を一部縮小する病院も出てきました。
自分自身に子供がいなくても、多くのスタッフが出勤できなければお店が開けない、会社が成り立たない、という経営者もいらっしゃいます。
また、休んだ場合そのまま収入がなくなってしまう方々も少なくありません。

子供たちの命が危険にさらされる恐れがあることも忘れてはいけません。
悲しいことですが、日本には夏休みになると痩せてしまう子供たちが沢山います。通常の休みであれば、子ども食堂など地域の方たちの努力でなんとかなっている場合でも、今回のような急な長期の休みだと対応は難しいかもしれません。ですが、放っておくわけには行きません。
そして、これもまた許し難いことですが、留守宅の子供たちを狙う犯罪もあります。

今私が思いつくだけでもこれだけあるのに、これ以外にも沢山の困りごと、命に関わることが生じると思います。

生ずる様々な課題に対して政府は責任を持って対応するとしていますが、それらの懸念と負担、経済的な損失を見越し、安心させてくれる具体的なアナウンスはありません。

それどころか、財務大臣は休校により新たに発生する学童保育費の負担に関し、政府として対応すると答えながらも、その問い自体に「つまんないこと聞くね」と返しました。
でも、その「つまらない」と嘲笑したことに、私たちは日々追われ、頑張って働いて、子供を育てているのです。

そして、子供を持つ女性としてモヤモヤとした思いが残るのは、結局こうしたことの全ては、家には専業主婦のママがいるだろう、という前提で軽く考えられていたのではないか、また、共働きの家庭でも、どうせ妻が仕事をやりくりして子供の面倒をみるだろうという前提で物事が進みはしないかということです。
まして、これだから子育て中の女は使いにくい、と、もし社会が思うのならば、日本の経済の復活はあり得ません。今現在でさえ、社会のどれほどの機能を子育て世代の女性たちが、子育て世代の共働き世代が担っているのか、それを実感する1ヶ月となるのだろうと感じます。

もちろん、パンデミックを抑えることは重要です。
その点に疑問は微塵ももっておりません。
ただ、もう撤回できないのであれば、今回の要請によって何が起きるのか、その想像を怠らず、生まれる課題一つ一つに丁寧に迅速に対応していく、または自治体の独自の判断を精一杯支援していく政府の心構えと行動を求めたいと思います。

「政府の要請の通り3日から幼稚園はお休みになります」
そんなメールを今日の昼に受け取り、夫婦で「来週からどうしようか・・・」と顔を見合わせました。
自分達も大きな困惑と戸惑いを抱えながら、、皆さんと共に頑張って参ります。

てらたしずか

写真は週末、仕事の合間のランチ。


トップへ戻る