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この国会に灯った光

2021.06.18 17:21

一昨日、150日間の通常国会が閉会しました。
緊急事態宣言も続いている最中の国会で、感染対策に気を遣いながらの日々でした。

少年法、入管法など、問題のある法案に心を痛め、なんとしても成立を阻止しなければと思うものもあった一方で、温暖化対策やプラスチック汚染を止めるための法案などが通ったことは喜ばしいことでした。
中でも、私が一番嬉しかったのは、長らく議員立法として検討がされてきた「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が全会一致で成立したことです。

日本は、障がいのある子どもが生まれると、そのケアの多くを親が引き受けている現状があります。保育園や幼稚園にも断られ、進学も地元の学校に受け入れてもらえないといった現状があります。
しかし、この法律の成立によって、今まで努力義務に止まっていたこうした子どもたちと家族への支援が、国と自治体の「責務」になりました。これまであったような地域間による支援の格差や家族の負担が減り、たまたま授かった子どもに障がいがあったという保護者が、ケアのために仕事を辞めなければならないといった人生の大きな変更を迫られることが、格段に少なくなることが期待できます。

日本の現状は深刻です。

二年前の選挙の前に初めてお会いした女性は、障がいのある子を持って、24時間、身も心も休まることのないケアの過酷さのために、ふと我が子の死を願うことすらあったと言います。この言葉に象徴されるように、障がいのある子どもをひとたび抱えれば、そのケアの多くを保護者、現実としては多くの家庭において母親が抱え込まざるを得ない実情があります。

以前、勉強会でお会いした山形で障がい児のデイケア施設を始めた同世代の女性は、その動機を「自分はずっと仕事をして生きてきたのに、産まれてきた子どもにたまたま障がいがあったというだけで、働くという選択肢すらを与えられていない女性たちがいることがショックだった」と仰っていました。

義理の父は、横手市長時代、車椅子を使っているお子さんが小学校入学予定であると聞き、その学校にエレベーターを設置しましたが、一方、十年ほど前にとある市で聞いた話では、怪我をして車椅子を使わなければならなくなった子どもが退院をして元の学校に戻る際、「その子ども一人のために税金でエレベーターを作るのはおかしい」等の意見が出て、結局その子は友達がいる学校を離れ、養護学校に転校しなければならなくなったと言います。
このように、地域によって支援の姿勢が全く違うことは、決して許容できるものではないと私は考えます。

福祉の先進国・デンマークでは、障がいのあるお子さんがいる家庭には、夜8時にヘルパーさんがやってきて、夜間の痰の吸引や人工呼吸器の管理などをしてくれ、また、朝は別のヘルパーさんが迎えにきて、学校への送迎と学校での見守りをしてくれるのだと言います。本来あるべき子どもの福祉の姿がここにあると感じます。

少子化により子どもの数は減っているものの、医療の発達などによって、医療的ケアを必要とする子どもの数は増え、全国に約2万人いるとされています。もちろん、今回の法律の成立はその第一歩であり、不足しているとされる介護人材の確保をはじめとして、課題は山積しています。一人でも多くの子どもたちと、たまたま障がいをもって産まれてきた子どものケアのために大きな人生の変更を迫られる保護者たちが、日本のどこに住んでいてもそれぞれ自分らしい人生を歩めるように、支援の拡充を求めてこれからも努力をしていきたいと思います。


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