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想定外の事態が常態化する時代に

2024.01.18 15:37

先週行われた横手、湯沢の両商工会議所の新年会でご挨拶させていただいたお話をこちらでもご紹介します。

議員になって4年半、振り返れば、当選した最初の年を除き、その後は新型コロナ感染症で経済と社会はかつてないほど揺るがされました。

コロナ以外にも、世界ではロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナの紛争、国内では異常気象による大きな水害が続き、今年は元日に大地震もあり、平穏だったと振り返ることができる年はありません。

「想定外の事態」は耳慣れた言葉となり、もはや「想定外の事態が常態化している」といっても過言ではなく、残念ながら、この「想定外の事態が常態化」する時代は今後も続くだろうと感じております。

ここで、一冊の本をご紹介したいと思います。

それは夫が5年前に買った本ですが、いま人気が再燃し、ベストセラーとなっている「最後はなぜかうまくいくイタリア人」というイタリア人の仕事や人生への向き合い方が描かれた本です。

「仕事とプライベートは分けない。いつでも仕事し、いつでもさぼる」

「悲惨な事態もしぶとく楽しむ」

「結果よりも経過、成り行きを楽しむ」等々、イタリアの人たちの行動や思考の特性が綴られておりますが、

私がもっともこの本から学んだことは、

「イタリアでは、予定表や打ち合わせ通りに物事が進むと考えるのは間違いで、それはあくまで努力目標」

「したがって、不測の事態が起こることが日常であって、慌てる必要はない」

「反面、不測の事態が起きてもイタリア人は決して諦めず、最後になんとかする能力を備えている」

「それは、子供の頃から不測の事態に慣れきっている分、それに対する適応能力が破格に高い」

という部分です。

私自身を含め、学校では、正しい答えにいかに早く辿り着くか、教えられたことをどう効率よく実行するかを鍛えられてきましたが、今後は教えられていないことに如何に柔軟に対応するかが、この荒波の中で生き抜くためにもっとも必要な素養なのではないかと感じます。

私には一人、イタリア人の親友がありますが、コロナの時期に3年間日本にいた彼女に、日本の出入国制限が厳しいため故郷にも戻れずさぞ辛いだろうと声をかけたところ、こんなことを言われました。

「ニュースを見れば、ニューヨークだってロンドンだって沢山の死者が出て遺体を安置する場所も不足している。イタリアでも友達の親が亡くなったけど、ここにいるみんなは(両手を広げて)ほら、生きてる。厳しいロックダウンもなくて、日本はカフェだって開いていて今こうしてシズカとコーヒーを楽しんでる。今ここ(日本)にいる自分はラッキーだ」

「それにこれを見て」と携帯を差し出してきて、そこには最近行ってきたというとある日本の有名な観光地の写真。「こんなところに普通の時に行って写真を撮ったら人の頭のしか写らない。でも今はどんなに有名な観光地でも観光客はほとんどいなくて、自分の携帯でこんな素晴らしい写真が撮れる。こんな時に日本にいて各地を巡ることができて本当に自分はラッキーだ」

物事を別のファインダーで捉え直して、不測の事態、悲惨な事態をしぶとく楽しむということを彼女から教わりました。

本年もさまざまなことが起きる一年となると思います。想定外の事態が常態化する今、答えのない問いに向き合い、すぐに解決できない課題の困難に耐えながら柔軟に対処する能力が、今の時代を生きる私たち、特に、事業を営む皆様に求められていると感じております。

私自身、ご紹介したイタリア人のようにとはいきませんが、さまざまなことに関し、柔軟な発想と果敢な行動で少しでも皆様のお役に立てるよう心がけ邁進して参ります。

辰年の本年、皆様が想定外の事態にも柔軟に対応され、大きな躍進を遂げられることをお祈りしています。

ご紹介した本はこちらになります。

最後はなぜかうまくいくイタリア人 (日経ビジネス人文庫) 

https://amzn.asia/d/2d8D32T


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