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他者のために動く

2020.07.29 14:49

 〜電話で語る会を終えて〜

初めての試みで「もしかしたら全く電話がこないかもしれない」と、待ち時間に読むための資料や本を用意して臨んだ「電話でしずかと語る会」は、お陰様で資料に目を通す暇もなく、多くの方からお電話を賜る貴重な機会となりました。

県内全域にお配りした広報紙で「ご意見やお困りごと等をお電話でお寄せください」と呼びかけ、先週の土曜日から月曜日までの三日間、私は事務所にこもり皆様と電話でお話ししました。
この夏、本来であれば昨年に引き続き全県25市町村でそれぞれ「しずかと語る会」を開催する予定でした。しかし、感染症拡大防止のため、4月末に全ての会場の予約をキャンセル。その後、屋内集会形式から街頭演説に変更して全県を回ろうと準備にとりかかりましたが、やはり、街頭であっても、感染防止を呼びかけながら、自ら会を主催して人を集めるということにためらいがあり、最後の最後に行き着いたのが、この直接電話でお話を伺う「電話で語る会」でした。
思いがけず多くの方からお電話を頂戴し、三日間とも予定していた時間を大幅に延長し、十時間以上話し続けてなお直接お話しできず、スタッフにメッセージを託してくださる方もありました。

寄せられるお声は、多様なもの。

ご自身やご家族の方の不安やお困りごとのご相談。
ご関心をお持ちの分野に関する他県での先進事例などをお知らせくださる方。
一度直接話してみたかったという方。
女性だから話しやすいと思って、とおっしゃる方。
与野党を問わず、今の政治のあり方に関するご意見。
コロナ対策に関する不安の声。
イージス・アショアに関して安堵の声も多く寄せられました。

「演説会などで多くの方の前では、身内のことは話したくても手をあげられない。1対1の電話なら話したいと思った」
一人ひとりの方とお話しして、企業や団体以外の一個人、一住民の声というのは、いかに政治や行政に届きにくいのかと改めて気づかされ、初めての試みではあったものの、このような機会を設けて良かったと思うことができました。

皆様からいただいたお困りごと等、既に取り掛かっているものもありますが、調査が必要でその場で答えられなかったことなどは、ここからスタッフや地域の議員の方のお力もお借りして解決の道を見つけるようにしていく予定です。
また、私の不勉強のために今まで知り得ずにいたいくつかの分野の他県の先進事例等については、担当省庁の方のお知恵も借りながら、この秋田でも実現できるように、地方議員の皆さんとも連携をしながら形にしていきたいと思っています。

三日間、ひたすら電話で話し続けることは、予想以上に大変でしたが、その大変さを吹き飛ばすほどの励ましと気づきを頂きました。
当事者として当該分野やお住まいの地域で大きな役割を果たしている複数の女性からお電話を頂き、お困りごとを伺う中で、その方々がご自身の経験を通じ、問題意識を持った分野を確実に変えていこうとする強い意志に、逆に私が励まされました。
併せて「女性だから話しやすいと思って」とのお声には、女性は女性特有の悩みもあり、女性相手の方が話しやすいのだろうという当たり前のことにも気づかされ、地方議会の議員を含めて、やはり半数の政治家は本来は女性であるべきなのだと改めて感じました。

先日の魁新報に、このような言葉が載っていました。
「コロナに勝つために人間の利他的な本質に回帰しよう」というものです。
そう呼び掛けたのは、医療の専門家ではなく、環境の専門家の国立環境研究所の五箇教授です。

人間は、動物として体が大きいわけでも足が速いわけでもない。そんな人間が今のように繁栄することができたのは、互いを助け合ってきたからなのだという内容でした。
今回のウイルス感染も、「今の自分がよければいい」と利己的な考えに立てばウイルスを蔓延させることにつながり、ウイルスが勝つのだと。
でも、他者を思いやった行動、利他的な行動を一人ひとりがとることで蔓延を食い止めることができると書かれていました。

お電話で多くの方からお困りごとを伺ったのちに、目にしたこの言葉は自らの気持ちを至極納得させるものでした。

私自身このコロナ禍で、ともすれば、卒園式すらできない我が子の成長の節目の不運を嘆き、その後の休校に悩み、感染を恐れて子どもと閉じこもり、自分のことだけ考えて鬱々とした日々を過ごしていたかもしれません。でも、この仕事につかせてもらったおかげで、ウイルス感染が深刻になり始めてから4ヶ月余り、私などよりよほど困っている方たちのために働いてくることができました。そしてそのことによって、本当に助けられていたのは実は私自身の方だったのだと、ぼんやりと感じていた言葉にならない感覚が、この「他者のために動くことが人間の本質である」との言葉と相まって確信に変わったのでした。

このことに気づかせてくださったのは、お悩みなどの声を寄せてくださったお一人おひとりの方です。

この場をお借りして、今回お電話を下さった多くの方に改めて感謝を申し上げますとともに、このFacebookからコメントやメッセージをくださる皆様に心から御礼を申し上げます。

7月29日
てらた しずか


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