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189(いちはやく)

2021.12.02 17:06

昨日行われた「秋田市子どもの虐待防止講演会〜子どもの明るい未来のために〜」に参加させていただきました。

健常児から発達に遅れのある子ども達などを対象とした広く子育てに用いることのできる「虐待防止につながる子育て心理療法『ケア』 CAREをいっしょに学びましょう」と題したご講演にて、講師である秋田大学の太田先生から、毎日の子育てに用いることのできる具体的なスキルが語られ、実践方法もワークショップ形式で教えていただきました。

昨年の法改正にて、家庭による体罰も禁止されたことで、「体罰によらない子育ては理想だけれど、では実際問題として一体どうしたらいいの?」と苦悩する子育て世代の悩みにわかりやすく寄り添い、具体的な対処の方法と、どうしてその方法が優れているのかの研究成果を添えて示してくださる太田先生のお話は、仕事の面でもさることながら、8歳の息子の子育てに日々苦心する私の私生活においても大変有難い有意義なものでした。

また、全県より、子育てに悩む方や、保健所や警察署、親元に頼れない子供達のために働く施設の方や里親さんなど多くの方が参加されており、日々家庭や現場で直面している悩みや課題にどう対応するのかの質問が出され、そうした方々のお話もお伺いすることができたことも貴重なものでした。

明日3日には、映画「189」が公開されます。

189は、児童虐待から「189(いちはやく)」子どもを助けるための虐待相談ダイヤルです。

皆さんのご記憶にも残っているかもしれませんが、この映画は、2018年3月に当時5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが亡くなった目黒区の事件、翌年1月に10歳の栗原心愛(みあ)ちゃんが亡くなった千葉県野田市の事件を元に作られました。

虐待を疑っても189に通報することをためらう人が多いこと。

危険な状態にある子を一時的に保護する一時保護所がどこもいっぱいなこと。

DV加害者の支配下にある母親は、家庭内で子どもが夫から虐待されていても周りの支援を受け入れることが難しい心理状態にあること。
相手が大人だったら傷害罪ですぐに逮捕できるような状況でも、子供が被害者だと証言が得られないことを恐れて逮捕するのが難しいこと。

明らかに虐待の痕跡が見られても、虐待を否定する親の親権停止するのは現状では非常に難しいことー。

映画では、実際に指摘されている問題が描かれています。

そして何より圧倒的な人手不足の中、児相の職員たちが子どもたちのために、自分の家族や心を犠牲にしながら奔走しています。

先週、この映画の試写会を開催した児童虐待から子供を守る議連には、議員になった直後から加えて頂き、多くの専門家や現場の方々らのご指導を賜ってきました。法律の制定や予算の編成に端っこながら携わる者として、「死なずに済む子を一人でも増やしたい」とお話しされた加門監督の想いをしっかりと受け取りました。

昨日のワークショップでも、秋田市子ども未来センター所長の伊藤氏が冒頭の挨拶で、「子どもの泣き声が気になるなと思ったら、結果間違いであったとしてもいいからためらわずに電話して欲しい」と仰っていたのが印象的に残っています。

子どもたちの権利、安全と安心は、周りの大人たちが主体的に行動しなくては守られていかない。その覚悟を持って、現場で働く皆さんのお声を聞きながら、子どもの最善の利益が当たり前に追求される社会を目指し、更なる改善を求めていきたいと思います。

写真は、児童虐待から子供を守る議連での一コマ。毎回子どもの社会的養護に関わる識者をお招きして、勉強しています。


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