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医療的ケア児支援:永田町子ども未来会議報告〜経管栄養とミキサー食

2023.12.13 12:33

医療的ケア児の支援を進めるための「永田町子ども未来会議」。

先週は、こども家庭庁から補正予算の事業の説明を受けるとともに、埼玉医科大学の奈倉先生より、経管栄養の課題とミキサー食について伺いました。

経管栄養とは、食事を口から摂ることが出来ない場合に、チューブで直接胃や腸に届ける栄養摂取方法のこと。亡くなった私の弟も、亡くなる前の1年間、この経管栄養、お腹に穴を開けて胃に直接栄養液を入れる方法(胃ろう)で命を繋いでいました。

経管栄養や胃ろうという言葉からは、一般的には老齢期を想像される方も多いと思いますし、弟の場合は遷延性意識障害、いわゆる植物状態であり、経管栄養といえば意識がない状態の方の栄養摂取方法とつい私も思ってしまっていましたが、意識がある方でも、重度の障がいのある方やALSの患者さんなど、多くの方がこうした方法で食事を摂っています。

2000年には、日本で、この経管栄養で摂取すべき薬を間違って医療者が静脈のラインにに注入してしまい、一歳半のお子さんが命を落とす事故があったとのこと。この事故を契機に、この経管栄養のコネクタの差別化を図り、2度と同じような事故が起こらないよう標準化がなされたとのことでした。2000年といえば弟も経管栄養で療養をしていた時期。私自身はこのような痛ましい事故があったのを恥ずかしながら知らずにおりましたが、多くの方のご尽力によって再発防止措置が図られたことに心から感謝をしました。ただ、今、その日本の規格が国際標準から外れてしまったことにより課題が生じているとのこと。かつて家族が経管栄養の恩恵を受けた者として、議連の議員らと協力し問題解決の一助となれたらと思います。

また、経管栄養といえば、専用の栄養剤(液体のカロリーメイトのようなもの)を用いるものとばかり思っていましたが、その後、船後靖彦議員とお話させて頂く機会を得て、ミキサー食というものがあることを知るに至りました。柔らかく煮た食事をミキサーにかけ、それを直接胃や腸に注入するというものです。

あちらこちらでお話を聞くと、市販の栄養剤だけではどうしても足りなくなる栄養素を補うこともでき、ゲップで普通の食べ物の香りを嗅いで味わうこともできる、「ゲップが美味しい」というお子さんもあるのだと教えて頂き、本当に驚きました。口から食べる喜びをもつことはできなくとも、少しでも、一つでも普通の当たり前を経験させたいと願う保護者の皆さんにとっても、ミキサー食は希望だと感じました。

もちろん、ただでさえやるべきことの多い医療的ケア児との暮らしの中で、特別なミキサー食を作るのは日々誰にでもできることではありません。必要最低限のケアを可能なかぎり公的なところが担い、生活の質のプラスαの工夫をする余裕が家庭に生まれるように支援をしていくことの大切さを改めて思わされました。

自治体では支援が進んでいるところもあります。未来会議はこうした先進的な取り組みを全国に広めていくことができるよう、自治体のネットワークづくりも後押しをしてきましたが、先月15日には全国41自治体の長が参加し、「医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワーク」が発足しました。残念ながらまだ秋田県内からの参加はありませんが、県内でもっとも人口が多く、当然ケア児も多く在住し、医療的ケア児の支援センターがあるがゆえに、ケア児を抱えた家族が他の市町村から引っ越してくることもあるという秋田市には、このネットワークに是非参加をして頂きたいと思っているところです。

この会議は今後活動をより充実させるために、議員連盟に衣替えをして再スタートを切ります。今後も関心を持ってくださる自治体議員の皆さんや現場で尽力を頂いている関係者の皆さんと共に、法律で定められた支援が県内のケア児とそのご家庭に届くよう、働きかけを続けていきたいと思います。


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