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困難を抱える子どもたちのことを

2023.12.20 12:11

先日行われた児童虐待から子どもを守る議員の会の勉強会で、塩崎前議員より、代替養育を必要とする子どもは全て「逆境体験児」であるとの認識を新たにすべきとの提言がありました。

そして翌日の新聞紙面には、少年院にいる子どもの実に9割に、虐待や親のアルコール問題などの逆境体験があるとの調査結果が掲載されていました。

愛情や基本的な人との信頼を築くベースとなる家庭に恵まれなかった子どもたち。

子どもたちの苦しみはどれも根っこは同じと改めて感じています。子どもは基本的には親が育てるべきだと自己責任を家庭に強く求め、十分に支援をしてこなかった結果がここに現れています。

今の政府の政策を見ていると、日々の育児で生じる葛藤をほとんど経験していない人たちが意思決定をしているとしか感じられません。

どんな人でも親になる可能性があり、親が十分に子どもをケアできないとき、犠牲になるのは子どもたちであるということ。こんな状態を一刻も早く解消しなくてはいけない。すべての命がおめでとうと言われて迎えられて、大切に慈しんで育てられる。それが実親のもとで叶わないとき、実親のもとで育つことがその子の最善の利益に叶わないと推察されるときには、養親のもとにすぐに繋がる仕組みと環境を全力で整備すべきです。

子どもの権利に関する意識が高く、仕組みが整っている国では、既に3歳以下の子どもを施設養育に措置することは虐待だとして、原則全員の子どもを家庭に措置しています。かたや日本は、6年前の法改正で家庭養育優先原則を定めたのにも関わらず、未だに3歳以下の乳幼児を養育する施設である乳児院の新設を認めています。

議連の場でも、「家庭養育優先との原則を定め、3歳以下は75%を家庭で養育を定める目標を掲げながら、なお施設の新設をしているのはおかしいのではないか」と、せめて新設は認めない方針を掲げることを求めましたが、現場のニーズがあるとして聞き入れられませんでした。でも、里親の登録数は年々増えています。もちろん地域の都合などで全員に委託をするのは難しいのかもしれませんが、それでも、里親委託を進めている自治体では登録里親の43%が子どもを預かっているのに対して、活用が進んでいないところは20%以下(登録しているのに実際に子どもを預かっているのは里親の5人に1人)というところもあります。虐待対応などに児童相談所が忙殺されるなどの理由で、里親に預けることの同意の取り付けや里親とのマッチングにかける労力を十分に避けていないなどの背景がそこにはあります。

里親の活用が進んでいる自治体で里親をしている知人のところには、虐待の緊急保護などで急遽赤ちゃんや小学生がやってきます。当面の里親が見つかるまでの一時的な措置ですが、その一時的な対応としても里親を活用しているのです。

議連の場でも、パーマネンシーの保障(子どもの養育者が何度も変わることがないよう一度預かったところに長く預かってもらう)を言い訳として、とりあえず施設に措置する、その後里親を探すということで実質的に放置し、施設養育を何年もに渡り長期化させていることなどの問題点を指摘しています。

今回議連に提出されたこども家庭庁の資料によれば、秋田県は法改正以降、里親登録数も伸び、里親委託がもっとも進んだ自治体のグループに分けられていました。秋田県はもともとの里親委託率が全国のほぼワーストであったために伸び代が大きかったとも言えますが、この6年の間に県内の関係者の方々の大変なご尽力があったことはもちろん、里親研修に進み登録をして下さった方々が増え、逆境体験を抱え養育に一層の難しさを抱える子どもたちを日々懸命に支えている里親やファミリーホームの皆さんの献身に本当に感謝しています。

逆境体験を抱えて、自分の人生を切り拓いていくことに特段の難しさのある子どもたちを社会でどう支えていくのか。師走のこのとき、クリスマスやお正月を一緒に祝う家族に恵まれない子どもたち、その子どもたちを支える方々のことに、ひととき思いを巡らせていただければ嬉しく思います。

写真はこども家庭庁訪問時のもの


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